◇絵でみる需給動向◇
米国農務省(USDA)は3月30日、2001年におけるトウモロコシ、大豆などの 作物について第1回目の作付け予測を発表した。 これによると、トウモロコシの作付面積は7,669万エーカーと2000年(7,955万 エーカー)を3.6%下回った。州別では、アイオワ、ミネソタ、コロラドにおけ る作付面積の減少が大きく、またコーンベルト地帯では、ミズーリを除いた州で 前年の作付面積を下回っている。 一方、大豆の作付面積は7,666万エーカーと2000年(7,450万エーカー)を2.9% 上回った。州別に見ると、主要8生産州のうちミネソタとアイオワの増加が大き く、インディアナ、イリノイ、ネブラスカ、オハイオの各州でも増加している。 米国における大豆の作付面積は、90年以降増加傾向で推移しており、予測どおり 作付けが行われると過去最高の作付面積となる。 2001年のトウモロコシと大豆の作付面積は、ほぼ同じとなることが見込まれて いるが、大豆の作付面積がトウモロコシを上回ったケースは、これまでに1度 (83年に穀物余剰対策として作付け制限措置が講じられ、トウモロコシの作付面 積が大幅に減少した)だけである。 2001年の作付面積がトウモロコシから大豆にシフトする主な要因は、トウモロ コシ生産に必要な窒素肥料価格が高いこと、原油価格が高いためかんがいなどト ウモロコシの生産費が高いこと、トウモロコシ価格の低迷が見込まれることのほ か大豆生産者に対する補助金の水準が高いことなどが挙げられる。 ただし、トウモロコシおよび大豆の作付けは、春の天候により大きな影響を受 け、一般的に湿潤な天候が長引いた場合には大豆の作付面積が増加し、乾燥した 暖かい天候の場合にはトウモロコシの作付面積が増加するとされる。 ◇図:トウモロコシ、大豆作付面積の推移◇ 主要穀物の作付面積の推移 (単位:万エーカー、%) 資料:USDA/NASS「Prospective Plantings」 注:2001年は予測値
2001年の遺伝子組み換え(GM)作物の作付面積の割合は、トウモロコシが全 体の24%で前年と比較して1ポイント低下した。内訳を見ると、害虫耐性品種 であるBtコーンの作付けは16%で前年比2ポイント低下、除草剤耐性の品種は 7%で前年比1ポイント上昇、害虫・除草剤耐性の品種は1%で前年と変わらなか った。 また大豆については全体の63%で、前年と比較して9ポイント上昇した。内 訳について見ると、すべて除草剤耐性の品種であった。 このようにGM作物の作付け予測を見る限り、昨年冬のスターリンク問題(米 国で飼料用にのみ利用が認められている遺伝子組み換えトウモロコシが食品か ら検出され、トウモロコシを原料とする300種類以上の食品が回収された)の影 響は、限定的であるとみられる。
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