◇絵でみる需給動向◇
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、主に米国向け牛肉に仕向けられ る経産牛の2001年3月(速報値)の平均取引価格(クインズランド(QLD)州) は、前年同月比29.1%増、前月比6.8%増の266豪セント(約167円:1豪ドル=63 円)/sと2ヵ月連続で6%台の上昇率を示した。また、日本向けが中心となっ ている肥育牛の平均取引価格(QLD州)は、前年同月比22.3%増、前月比4.2%増 の285豪ドル(約179円)/sと今年に入って4%台の上昇率となった。さらに、 主に国内消費に仕向けられる若齢牛の平均取引価格(ニューサウスウェールズ州) は、前年同月比24.2%増、前月比7.2%増の308豪セント(約194円円)/sとすべ ての種類の肉牛価格が大幅に上昇することとなった。 ◇図:肉牛価格の推移◇
このように肉牛価格が急騰している要因としては、米国向けについては対米ド ル為替相場が記録的な豪ドル安となっていることと比較的好調な米国経済状況に より需要が強まっていることが挙げられる。また、日本向けについては、米国産 牛肉の供給がタイトな状況になっていることと豪ドル安の為替相場を背景に、特 に、グレインフェッド牛肉に対する需要が強まっていることが価格上昇の要因と して挙げられる。また、若齢牛は、フィードロットから素牛としての需要が強く なっていることに加え、近年の豪州国内の好調な経済により小売業やフードサー ビス産業からの需要が強く、国内需要に対して供給がタイトになっていることが 挙げられる。 肉牛・牛肉価格の上昇については、EUで発生している牛海綿状脳症(BSE)や 口蹄疫に対する清浄国の地位を豪州が保持していることが豪州産牛肉の需要を強 くしているとの見方もある。いずれにせよ豪州肉牛・牛肉業界にとって好条件が そろっているといえる。
MLAによると、牛肉の輸出量は、2001年に入って前年を上回る水準で推移して いる。2001年3月の牛肉輸出量(速報値)は、88,739トン(船積みベース)と月 間では2000年10月に次ぐ記録となった。2001年1〜3月の輸出量は約40%が米国 向け、約35%が日本向けとなっており、前年同期と比べると米国と日本の割合は 逆転している。しかしながら、3月の日本向けの牛肉輸出量は3月実績で過去最 高を記録しており、日本への輸出量が減少した訳ではない。 米国向けと日本向けのシェアが逆転した要因としては、対米ドルの為替相場が 記録的な豪ドル安となったことなどが挙げられる。 ◇図:米国向け牛肉輸出価格と為替相場の推移◇
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