◇絵でみる需給動向◇
肥育牛価格が高水準で推移している。米農務省(USDA)によると、肥育牛価 格(ネブラスカ州の相対取引価格、去勢、1,100〜1,300ポンド)は2000年9月以降、 一貫して値を上げていたが、11月以降は前年より10ドル程度上回る高値が続き、 今年3月には前年同月比11.4%高の80.0ドル/100ポンド(220円/kg:1ドル=125 円)と、93年5月以来の80ドル台に達した(左図参照)。また、牛肉小売価格 (チョイス級の加重平均価格)は、今年に入って史上最高を更新し、2月には334 .2セント/ポンド(418円/kg)となった。
ここ数ヵ月の高騰は、好調な需要にけん引されて需給がひっ迫基調にある中、 中西部から南西部一帯にかけての生産地で、降雪などの悪天候が続いて供給が急 減したことによる。2000/01シーズンは、92/93年以来ともいわれる厳しい冬で あった。このため、交通事情の悪化によりフィードロットからの出荷が停滞した 上、寒さから牛の増体が進まず、と畜頭数と枝肉重量がいずれも前年を下回った ことから、今年第1四半期の牛肉生産量(枝肉重量ベース)は、前年同期比6.5% 減の282万トンにとどまった。また、当該3ヵ月間における種類別と畜頭数を見る と、去勢牛および未経産牛が前年同期を大きく下回った中、肉用経産牛は、降雪 で牧草の状態が悪化し、購入粗飼料価格も値上がりしたため、とう汰されたケー スが多く、前年同期を11.2%上回った。 ◇図:枝肉重量の推移◇
牛肉の需要は、景気にかげりが見え始め、燃料価格が高騰するなど、消費者の 食費に向けられる支出額は減少が見込まれるにもかかわらず、依然として好調に 推移している。米国内では、EUの牛海綿状脳症(BSE)発生による牛肉離れの現 象も表れていない。これに対し、牛肉生産は、春を迎えて天候が回復するにつれ て増加が見込まれるものの、キャトルサイクルが下降局面にあるため、2001年通 年では、前年を下回るとみられる。このため、USDAでは、肥育牛価格は今後も 強含みで推移し、年平均では70ドル台後半になるとみている。また、2001年平均 の牛肉小売価格は、史上最高となった2000年をさらに上回る水準となるとみられ る。 ◇図:種類別と畜頭数の増減率◇
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