シドニー事務所 野村 俊夫、幸田 太
ひとくちメモ 豪州・ニュージーランドの農業牧畜地域ではグリーン・ツーリズムが重要な産 業のひとつとなっており、さまざまな形態のファームステイが存在している。開 拓時代の大牧場主の館(ホームステッド)やキャラバン・パーク的な牧場内ゲス トハウス、一般の農家が子供の独立などで空いた寝室をゲスト用にして食事をと もにする民宿的なものもある。高級なホームステッドの中にはシドニーの一流ホ テル並みに料金がかかるものもあるが、都会の喧騒から逃れてきたホリデー旅行 者や、ハネムーンカップル、ビジネス客らが落ち着いて滞在し、また会議もでき るスポットとして静かな人気を集めている。いずれのタイプのファームステイも 両国の農業牧畜地帯の素朴な雰囲気を味わうことができる。
豪州クインズランド州アローラのタル ガイ・ホームステッドは1868年に建造 された牧場主の館を利用したもので、豪 華な家具や庭園が往時の生活をしのばせ る。牧場の大部分は人手に渡ったが、隣 接する酪農場が残されており、ゲストは 朝夕の搾乳作業を見学できる。 |
タタルガイ・ホームステッドの回廊に 置かれた古い農機具。かつて活躍したこ れらの道具も、今では都会から来たゲス トの郷愁を誘う調度品として利用されて いる。 |
タルガイ・ホームステッドの会議室。 本来はダイニングルームであるが、小規 模な会議に利用できる十分な広さがある。 宿泊しながら会議を行うビジネス客の需 要が多い。 |
タルガイ・ホームステッドの乳牛群 (ジャージー種)。約120頭の搾乳牛が 飼養されている。朝夕の搾乳係はそれ以 外の時間、同ホームステッドの給仕とし て働いている。 |
豪州ニューサウスウェールズ州ラサグ レンのマウント・オフィア・エステート の牧場内には1890年代に建造された古 いワイナリーの廃虚がある。この地下に は広いホールがあり、そこで元音楽教師 のオーナーがゲストにピアノコンサート を聴かせてくれる。 |
マウント・オフィア・エステートのオ ーナー、ルスさん。彼女は、牧場で生産 される家畜、野菜、香辛料などから素晴 らしい料理をすべて自分で作る。早朝、 採れたてのトマトをつぶして朝食用のト マトピューレを作っていた。 |
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豪州南オーストラリア州ストラサルビ ンのピーチャベラ・ヴィンヤードは農場 主の館とは別棟のゲストハウスで、見渡 す限りのブドウ畑の中にある。 |
ピーチャベラ・ヴィンヤードは自炊設 備が整ったゲストハウスである。キッチ ンの冷蔵庫には牛乳、卵、ベーコンなど が用意されており、朝食はゲストが自分 で作る。 |
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ニュージーランドのハミルトン近郊に は民宿的な酪農ファームステイがある。 御主人のバーナードさんと奥さんのコリ ンさんがゲストと夕食を共にする。 |
バーナードさん夫妻の酪農場の搾乳施 設。御夫妻は既に引退しており、契約し たシェアミルカーが約320頭の乳牛を1日 2回搾乳する。 |
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