◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2000年の乳製品輸出額は、前年比8.4%増の9億 8,800万ドル(約1,235億円:1ドル=125円)となった。これは、昨年に続く過去 最高であり、輸出補助金ともいうべき乳製品輸出奨励計画(DEIP)に基づく脱脂 粉乳などの輸出が振るわなかった一方、補助金が支出されないチーズなどの商業 輸出が好調だったことが、このような輸出額の増加につながったとみられる。品 目別輸出額では、ホエイ製品が1億7,080万ドル(214億円)と首位に立ち、第2位 がチーズの1億3,840万ドル(173億円)であった。昨年最も輸出額の大きかった 脱脂粉乳は1億3,630万ドル(170億円)と第3位に転落した。
一方、2000年の輸出量を品目別に見ると、ホエイ製品が前年比45.0%増の20万 2千トンと増加が目立った。ホエイ製品は、主に食品の原料向けとして、アジア 諸国やメキシコなどの主要市場で需要が総じておう盛となり、生産量の25%以上 が輸出に仕向けられた。また、チーズは、近年最大の輸出先であった日本向けが 前年比24.9%減の6,500トンにとどまったものの、メキシコおよびカナダ向けが増 えたことから、前年比22.2%増の4万7千トンと史上最高を記録した。中でも、メ キシコ向けは、好調な経済の下での業界による販促活動が奏功したことなどから、 米国産チーズに対する需要が極めて活発となった。このため、2000年の輸出量は 1万トンと前年から倍増し、日本を抜いて最大の輸出先となった。 ◇図:主要乳製品の輸出量◇ ◇図:チーズの国別輸出シェア◇
これに対し、脱脂粉乳の輸出量は、前年比40.0%減の8万4千トンと、97年以来 最低の水準となった。脱脂粉乳は、国際競争力に乏しいことから、従来DEIPによ る補助金付き輸出に大きく依存してきた。2000年も、上半期は、補助金の交付を 受けて前年同期比32.0%増と好調に推移した。しかし、USDAは、国際価格の高 騰に伴い米国産脱脂粉乳の価格競争力が増したとの判断から、7月中旬以降2001 年1月まで補助金の交付を見合わせた。ところが、期待されたスポット的な商業 輸出は振るわず、下半期の輸出量が1万6千トンと低調に終わったため、通年では 前年を大きく下回る結果となった。
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