◇絵でみる需給動向◇
ドイツ市場価格情報センター(ZMP)によると、2000年におけるEU15ヵ国の豚肉 生産量(枝肉重量ベース)は、過去最高を記録した前年実績を1.4%下回る1,768 万6千トンとなった。EUの豚肉生産は、域内の需要回復や拡大する豚肉輸出を背 景に97年後半から増加してきた。しかし、その後の価格低下、ドイツ、オランダ など主要生産国での養豚農家戸数の減少や環境問題に対する関心の高まり、また、 イギリスでの豚コレラ問題などを背景に、養豚を取り巻く環境が一層厳し、豚肉 生産は減少に転じることとなった。 ◇図:EU15ヶ国の豚肉生産量◇
主な豚肉生産国の動向を見ると、飼養頭数の増加や需要拡大が伝えられるスペ イン、イタリア、また、好調な輸出を背景に飼養頭数の増加が見られるデンマー クを除き、軒並み減少となった。EU最大の豚肉生産国であるドイツでは、前年の 価格低迷や養豚農家戸数の減少の影響を受け、前年実績を15万トン弱も下回った。 また、イギリスでは、ポンド高によりデンマーク、オランダ産豚肉製品の輸入が 急増し、養豚農家を廃業に追い込んでいる。また、昨年の豚コレラの発生も、豚 肉生産の減少に追い打ちをかけることとなり、結果的にイギリスでの減少がEU全 体の生産量減少の最大要因となった。 主要国別豚肉生産量 資料:ZMP 注1:枝肉ベース 注2:2000年は速報値
今年2月下旬に発生したイギリスでの口蹄疫は、その後、フランス、アイルラ ンド、オランダにまで飛び火し、いまだ終息のめどが立たない状況にある。口蹄 疫発生件数の拡大に伴いイギリスでは、豚肉生産が大幅に減少しており、デンマ ークなど域内各国からの輸入が急増している。また、養豚生産の盛んなオランダ でも口蹄疫の発生が確認されており、移動制限地域が拡大する中で豚肉の流通に 影響が出始めている。このため、域内の豚肉価格は、昨年末のBSE問題の再燃に よる代替需要があって上昇した時を上回る率で上昇している。今後、急激な価格 上昇を嫌い消費は抑制されるものとみられるが、豚肉生産の回復に糸口が見えな いだけに、4月のイースター後、例年消費が増加傾向を示す時期を迎えるだけに 豚肉価格は引き続き堅調に推移するものとみられている。 ◇図:主要豚肉生産国における豚枝肉卸売価格◇
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