◇絵でみる需給動向◇
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)が今年8月に発表した報告書によると、2 005年までの豪州の短中期的な牛の飼養頭数は、平均で前年比2〜3%の増加 を続け、2000年と比べると12.0%増の3,090万頭まで増加すると予 測している。これは、肉牛農家において現在の好調な肉牛経営が維持されるとの 見方の中、肉牛専業経営の多い北部地域では牛群保留を行い頭数確保が行われる 一方、羊毛や穀物などとの複合経営が多い南部地域ではこれらの作目から肉牛の 比重を大きくする動きが出るとみているためである。 ◇図:総飼養頭数の推移◇
飼養頭数が増加する中、肉牛出荷頭数は、2001年は生産者が牛群の再構築 のために雌牛の出荷を抑えるために安定的に推移し、2002年以降は飼養頭数 の増加と生産性の向上により前年比2.8〜6.8%増とやや増加すると予測して いる。 2001年の牛肉の生産量は、出荷頭数が抑制されることから前年度比2%と わずかな増加を予測している。2002年以降の中期的な牛肉生産は、出荷頭数 の増加に伴い4.1〜7.0%とかなり増加するとみている。牛1頭当たりの枝肉 重量については、ほぼ横ばいと予測していることから、牛肉生産の増加は出荷頭 数の増加と同程度になるものとみられる。 ◇図:と畜頭数と牛肉生産量の推移◇
このように順調な牛肉生産が予測されている中、短中期的な牛肉輸出は、海外 市場からの強い需要に支えられ、各年とも前年比5.7〜8.4%とかなりの増加 を予測している。輸出が好調な要因としては、米国を中心とした海外市場からの 牛肉需要と牛海綿状脳症(BSE)や口蹄疫などの発生により輸出国が制限されて きていることを挙げている。その一方で、世界経済の景気後退やBSE・口蹄疫な どの疾病問題に伴う消費減などの需要減退の要因があるとしている。また、韓国 向け輸出量の著しい減少やインドネシアを中心とした東南アジア経済の停滞も牛 肉輸出にとってマイナスとなるとしている。 ◇図:牛肉輸出量の推移◇
なお、同報告では、2001年が肉牛・牛肉産業にとって例外的に好調な年で あると述べており、その中でも特に肉牛農家と牛肉輸出業者にとっては特別な年 であるとしている。2001年が例外的な年になったのは、豪ドル安と海外市場 からの強い需要が要因であるとしている。2001年も終盤に差し掛かる中、こ の好調をいつまで維持できるか、今後に注目したい。
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