◇絵でみる需給動向◇
ブロイラーの生産量が増加傾向で推移している。タイ農業協同組合省が公表し た6月のブロイラー生産量は、前年同月比9.0%増の8千3百万羽とかなりの 程度増加した。好調な輸出を反映して、生産量は昨年9月以降前年を上回って推 移しており、今年上半期では前年同期比で9.7%増の4億8千2百万羽となっ た。 また、ブロイラー生産の根幹となるひなのふ化羽数も、2000年8月以降は 同様に前年を上回って推移している。今年上半期は前年同期比で9.9%増の5 億5百万羽となっており、今後しばらくは高水準の生産が維持されるものとみら れる。 ◇図:ひなふ化羽数の推移◇
こうした継続的な生産増の主因としては、牛海綿状脳症(BSE)や口蹄疫への 不安から牛肉離れが続いている欧州向けを中心に、好調な輸出が続いていること が挙げられる。今年上半期の欧州への鶏肉輸出量は、前年同期比72%増の7万 6千トンに達し、首位をキープする日本(同8万4千トン)に迫る勢いを見せて いる。同様に、鳥インフルエンザへの懸念から中国産鶏肉の輸入を一時的に停止 した日本や、調製品を中心に鶏肉需要が高まる他のアジア地域においてもタイ産 鶏肉への需要は増大している。 タイの鶏肉業界は、主要な輸出市場における鶏肉需要の高まりはしばらくの間 継続するものとみている。このところ輸出に陰りが見えていた日本市場でも、牛 肉需要の低下などの要因で輸入鶏肉に対する需要が高まることも考えられ、今後 のブロイラー生産は、それぞれの輸出市場における消費者の食肉選択の動向が大 きなカギになるものと思われる。
一方、生産活動に大きく影響する生産費は、ひな費がかなり大きく下落したこ となどから、99〜2000年の間は2年連続して前年を下回った。こうした生 産費の低下傾向も養鶏農家の生産意欲を増大させる一要因となってきたものと思 われる。 しかし、今年に入ると、飼料費やひな費の高騰から、生産費はハイペースの上 昇を見せており、6月はブロイラー1kg当たり前年比15.7%高の27.1バー ツ(約76円:1バーツ=2.8円)と、この3年間の最高値となった。こうし た生産費の上昇傾向は長期的に見た場合、生産意欲を減退させる要因となる可能 性もあるものと思われる。 ◇図:ブロイラー生産費の推移◇
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