豪州の乳製品輸出額が30億ドルを突破


2000/01年度の乳製品輸出額は前年度比25%の大幅増

 豪州酪農庁(ADC)は、2000/01年度の乳製品輸出額が初めて30億豪ドル(約
1,800億円:1豪ドル=60円)を突破したことを発表した。国内生乳生産量は天
候不順や昨年7月に実施された酪農乳業改革の影響により前年比で2.7%落ち込
んだものの、豪ドル安と堅調な国際市況に支えられ、好調な輸出を物語る結果と
なった。

 今回の発表は、2000年7月〜2001年6月までの12ヵ月間を対象としたもので、
輸出額は前年同期の24億豪ドル(約1,440億円)を25%も上回る30億豪ドル(約
1,800億円)となった。


豪ドル安と堅調な国際乳製品価格が要因

 この要因としては、昨年から現在も続いている記録的な豪ドル安を背景に、酪
農製品のみならず、輸出産業全体が、活況を呈していることが挙げられる。また、
EUの輸出補助金の削減により脱脂粉乳などの乳製品の国際価格が押し上げられる
など、堅調な市況も大きく影響している。さらに、2000/01年度の豪州の国内生
乳生産量の減少が乳製品の国際市場に品薄感を与え、かつ豪州産乳製品の品質に
対する信頼性が認められたことが、価格を後押しし、過去最高の輸出額を記録し
たものとされる。

 輸出品目別では、チーズ(チェダーチーズは除く)が、約10億豪ドル(約600
億円)で前年同期比34%の増加、全粉乳が7万2,700億豪ドル(約436億円)で同
40%の増加、ホエイパウダーが同50%、脱脂粉乳が同42%の増加となっており、
その勢いがうかがえる。


一方で、生乳生産量は前年度割れ

 一方、2000/01年度の国内生乳生産量は、105億5,630万リットルとなり、天
候に恵まれた昨年と比較すると、前年同期比2.7%の減少となった。州別では、
豪州の生乳生産量の6割を担うビクトリア州で1.1%、サウスオーストラリア州
で2.1%、タスマニア州で3.1%といずれも減少している。昨年の酪農乳業改革で
多くの酪農家の離脱が報じられたクインズランド州、ニューサウスウェールズ州、
西オーストラリア州でもそれぞれ10.4%、4.7%、6.3%の減少となり、天候要因
とともに酪農乳業改革の影響も指摘されている。

 また、2000年7月〜2001年5月までの乳製品生産量は、生乳生産の減少の影響
を受け、昨年と比較しすると、全体としては微減となった。製品別生産量では、
脱脂粉乳等で前年同期と同水準の25万3,148トン、全粉乳は前年同期比12%増の
19万8,663トンと増加した一方、ホエイパウダーは同20%減の5万184トン、チー
ズは同3%減、バター、カゼインはそれぞれ同7%、同20%の減少となっている。

 豪州の酪農乳業は、生乳生産量の8割が乳製品に向けられ、その約6割が輸出
される輸出依存型の産業であり、堅調な輸出需要が反映された形となっている。
それだけに今回の結果が豪ドル安を背景とした一過性の現象なのか否か今後を注
視したい。

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