赤身肉型種豚の増加を目指す(中国)


赤身肉の需要増加への対応が課題

 中国では「肉」といえば豚肉を指しており、豚肉は主要な食肉である。豚肉は
タンパク源であると同時に重要な油脂源でもある。かつては脂身の多いものが高
級とされたが、最近では、経済成長による生活水準の向上・多様化に伴い、脂肪
分の少ない赤身肉(中国語では痩肉)が好まれる傾向が目立ってきている。特に
都市部を中心に豚肉に対するし好の変化が顕著にみられ、こうしたし好の変化と
需要の増加に対応するため、赤身肉型豚肉の生産を増大させることが緊急の課題
とされている。

 関係者によると、現在、全国に多くの種豚企業ができているが、良質の赤身肉
型種豚は依然として不足していると言われている。これまでの肥育豚に比べ、赤
身肉型豚は成長が早く、生産コストの節約を図ることができるとされているため、
国内養豚業の発展にもつながると期待されており、赤身肉型豚肉の大規模生産に
向けての体制作りが急がれている。


「三低」からの転換を図る

 中国国内で生産された赤身肉型種豚は、2000年では6万頭あまりで、全国
の種豚に占める割合はわずかに6〜8%程度にすぎない。

 現在、国内養豚農家が普遍的に抱える問題が「三低」といわれる。@出荷率が
低いこと、A肥育効率が低いこと、B赤身肉率が低いこと、である。このため、
生産性は国際的な水準を下回っている。この「三低」状態から転換するためには、
豚の品種改良や新しい肉質要求に着目した品種の導入、飼養管理技術の改善を図
り、肉質改善や赤身肉率の向上を目指し、需要を満たしていくことが必要となる。

 中国では、赤身肉型種豚に対する需要は強く、今後、農家の増頭意欲を刺激す
るものと見られる。一方、ここ3年間で全国における普通豚の飼養頭数は減少し
ている。


赤身肉生産増加に向けての動き

 政府は、種豚輸入の多元化を進め、赤身肉型種豚の全国的な生産を推進するも
のとみられる。すでに広東省、山東省などではデンマーク、アメリカ、カナダな
どの国々からの輸入を行っており、カナダ一国から輸入していたこれまでの状況
に変化が生じている。

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