◇絵でみる需給動向◇
豪州統計局(ABS)によると、2001/02年度(7月〜6月)の生体 牛輸出頭数は、前年度比4.7%減の81万9,400頭となった。生体牛輸出が前年度 を下回ったのは、アジア経済危機の影響を受けた97/98年度以来のことである。 この要因としては、主要な輸出先である東南アジアで、一部の国を除き通貨が 安値となったためとみられる。 輸出額(FOB価格ベース)については、前年度比13.0%増の5億6,187万豪ド ル(393億2,719万円:1豪ドル=70円)と過去最高を記録した。輸出頭数は減 少しているが、今期の生体牛1頭当たりの価格686豪ドル(4万8,020円)が、前 年度の589豪ドル(4万1,230円)と比べ上昇したため、輸出額は増加すること となった。 ◇図:生体牛輸出頭数と輸出額(FOB価格ベース)◇
生体牛輸出頭数を相手国別に見ると、最大となったのはインドネシアで、前 年度比15.7%増の33万頭となり、全体の40.1%を占めた。これは、インドネシ アの通貨ルピアの高騰によるものである。これに次ぐ輸出先は、エジプトで、 前年度比31.2%減の14万8千頭、次いでフィリピンが同38.0%減の9万7千頭と 大きく落ち込んだ。これは、両国の経済状況の低迷による自国通貨の安値から 、輸入に不利な状況となったこと、牛肉の需要が低迷したことが挙げられる。 これに次ぐマレーシアでは、同11.9%増の7万8千頭となった。なお、エジプト を除く中東諸国では、前年度比30.7%増の10万1千頭と大きく増加し、全体の 12.3%を占めた。
最近の生体牛輸出状況を見ると、9月の輸出頭数は、10万6,563頭とこれまで 月別の最高頭数であった97年6月を上回った。輸出額にあっては、6,130万豪ド ル(約42億9,100万円)と2001年10月の6,180万豪ドル(43億2,600万円)に次 ぐ2番目の額となった。このように好調な伸びをみせた生体牛輸出であるが、 輸出全体の40%を超えるインドネシア(バリ島)でのテロ事件により、通貨 ルピアの下落が予想されることから、この伸びも短期的なものに終わることで はないかと懸念されている。 ◇図:輸出相手国別の生体牛輸出頭数◇
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