◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2002年1〜10月におけるブロイラー 生産量(生体重量ベース)は、前年同期比4.1%増の1,237万トンとなった。こ れは、処理羽数、1羽当たりと体重量がそれぞれ前年同期比2.0%および1.2% 増加したことによる。
2002年1〜8月の輸出量(可食処理ベース)は、前年同期比14.9%減の145万 8千トンとなった。この減少は、3月から4月にかけてのロシアによる米国での 生産段階における安全性の問題を理由とした輸出停止、解除後の回復の伸び悩 みに起因している。同国向け輸出は、前年同期比25.4%減の50万9千トンとな った。また、米国各地で発生している鳥インフルエンザなどの家きんの伝染病 により、日本や韓国、メキシコなど主要な相手先が断続的に、輸入を全面的ま たは一部規制したことも減少の要因となっている。日本向けは、前年同期比54 .7%減と特に減少幅が大きい。しかし今後、さらなる疾病の発生がなければ、 日本や韓国への輸出は回復するものと見込まれている。 ◇図:ブロイラー輸出量( 1 〜 8 月)◇
生産量の増加および輸出需要の低迷により、国内向け供給量が増加し、市場 で滞留した分が在庫として積み増しされている。冷凍鶏肉の在庫水準は2002年 7月以降、前年同月水準を30%以上上回って推移しており、9月末現在では、前 年同月比33.1%増の37万7千トンとなった。こうした状況を受けて、相場は弱 含みとなり、10月のブロイラー卸売価格(12都市平均丸どり価格)は前年同月 比12.2%安の100ポンド当たり52.8セント(1キログラム当たり約144円:1ドル 124円、以下同じ)となっている。また、輸出の主要品目であるもも肉(ホー ル、北東部)の卸売価格は、同32.1%安の100ポンド当たり32.2セント(約88 円)とさらに大きく値を下げた。 一方、米国大手鶏肉加工会社で製造された鶏肉および七面鳥の調理済み製品 が10月13日、リステリア菌に感染している恐れがあるとして、回収量としては 過去最大の2,740万ポンド(約1万2,400トン)が自主回収されたことで、国内 の鶏肉需要の落ち込みを懸念する声も聞かれる。 ◇図:冷凍鶏肉在庫の推移◇
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