◇絵でみる需給動向◇
豪州農業資源経済局(ABARE)は9月に四半期ごとの第1次産品の需給 予測を発表した。これによると、今年に入って豪州で拡大している干ばつによ り、2002/03年度(6月〜7月)の生乳生産量、飼養頭数について、前回(2002 年6月)発表された予想が下方修正されているものの、依然前年を上回る予想 となっている。 2003年度3月末での経産牛飼養頭数は、前回予測の249万4千頭から、247万7 千頭(前年比3.2%増)になるとしている。飼養頭数については、90/91年度 から一貫して増加している。豪州の酪農は、海外市場からの需要が強まる中で 輸出競争力を維持するために、低コストの生産が続けられている。このため、 家族経営による労働コストの低減、飼養頭数の拡大、育種改良と合わせた飼養 方法の改善などが行われており、今後も飼養頭数の増加傾向は維持されるとみ られている。
この飼養頭数の増加に伴い、2002/03年度の生乳生産量も前回予測の1,120 万1百キロリットルから、1,150万8千キロリットル(前年度比2.1%増)になる としている。 しかしながら、豪州で拡大している干ばつの影響で、穀物飼料価格の高騰、 牧草の生育の悪化などにより、乳牛1頭当たりの年間平均乳量は、前回予測の 4,892リットルから、前年度を1.0%下回る4,646リットルになるとみられてい る。 また、2002/03年度の乳製品生産量は、前年度と比較して、バターが7.9%、 チーズが5.0%、脱脂粉乳が9.2%、全粉乳が3.9%、それぞれ増加すると予測 されている。 ◇図:生乳生産量と乳牛 1 頭当たり年間平均乳量の推移◇
一方、乳製品の輸出額については、乳製品の国際価格の低迷、豪ドル高によ り、総額で前年度比2.3%減の31億1,900万豪ドル(約2,183億3,300万円)とみ られている。これを製品別に見ると、全粉乳を除く乳製品で、バターが19.9%、 チーズが7.9%、脱脂粉乳が2.7%とそれぞれ前年度を下回ると予測されている。 これにより、生産者乳価については、前回予測の27.2豪セント(約19円)か ら、2001/02年度の速報値である1リットル当たり30.3豪セント(約21円:1豪 ドル=70円)に比べて19.8%安の24.3豪セント(約17円)と予測されている。 乳製品の生産量と輸出額の推移 資料:ABERE「Australian Commodities」 注:2001/02年度は速報値、2002/03年度は予測値
元のページに戻る