◇絵でみる需給動向◇
EU委員会によると、2001/02年度(4〜3月)のEU15ヵ国の生乳生産割当(ク オータ)制度における生乳供給量は1億1,817万トン(暫定値、工場向け供給量)、 割当超過量は71万5,579トンとなった。生乳生産割当量に対する超過量の割合 を示すクオータ超過率は0.4%と、90年代半ばから前年度までの超過率が0.6〜 0.7%で推移していたのと比べると、比較的低い水準となった。また、生乳ク オータ制度における割当量超過に対する課徴金額は、前年度よりも1,542万ユ ーロ(約19億円:1ユーロ=123円)少ない2億7,631万ユーロ(約340億円)と なったものの、割当超過国は9ヵ国と前年度よりも1ヵ国増えた。 生乳クオータ制度は、生乳の供給過剰を背景に84年に導入され、国ごとに 生乳生産枠を決め、割り当てるもので、この枠を超過したものについては、ペ ナルティーとして指標価格の115%の課徴金が課される。生乳クオータ制度は、 EUの生乳生産に大きな影響を及ぼしている。
EU加盟国別で見ると、クオータ超過率が高いのは、前年度に引き続きイタリ アで、その率は3.77%となった。しかし、イタリアの2001/02年度の生乳供給 量が前年度比1.3%の減少となったこと、生乳生産割当量は同2.1%の増加とな っていたことから、超過量、率ともに前年度を下回った。課徴金額については 1億3,856万ユーロ(約170億4,300万円)で、前年度を35万ユーロ(約4,300万 円)下回ったものの、全体に占める割合は5割に上っている。イタリアはクオ ータ超過の常連国であり、2001/02年度の生乳生産量が例年と比べて特に多い わけではない。 一方、クオータ超過率は低いものの、イタリアに次ぐ課徴金額となっている のが、ドイツである。ドイツの生乳生産割当量は2,776万トン(2001/02年度) と、加盟国の中で最も大きな枠となっている。そのため、クオータ超過率は0. 52%と小さいが、課徴金額は全体の18.6%を占める5,146万ユーロ(約63億3千 万円)となった。しかし、前年度の課徴金額(全体の30.9%を占める8,932万 ユーロ(約109億9千万円))と比較すると、大幅に減少した。ドイツは、クオ ータ年度末の数週間に渡って、生乳生産を削減する努力を行ったとされるが、 どれほどの効果があったのかは明らかではない。 なお、生乳生産割当量を超過しなかったのは、イギリス、スウェーデン、フ ランス、スペイン、ポルトガルおよびギリシアの6ヵ国のみであった。 主要生産国の生乳生産割当(2001/02年度) 資料 :EU委員会 注 1 :暫定値 注 2 :クオータ超過率は、割当超過量/生乳割当量
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