EUの豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○供給過剰を背景に続く豚肉価格の低迷



● ● ● 肉豚価格は低迷、今後も上昇の見込みなし ● ● ●

 イギリス食肉家畜委員会(MLC)によると、2002年10月のEUにお
ける平均豚肉価格(枝肉重量ベース)は、前年同月を15.3%下回る100キログ
ラム当たり129.6ユーロ(約1万6千円:1ユーロ=123円)となった。主要生産
国の豚肉価格は、軒並み大幅に下落している。2001年前半の豚肉価格は、2000
年末に発生した牛海綿状脳症(BSE)の影響による牛肉から豚肉への消費がシ
フトする一方で、2001年2月に発生した口蹄疫の影響により供給量が増加しな
かったことなどから、高値で推移していた。しかし、2001年後半には下落が始
まり、2002年に入っても低迷は続いている。

 フランス食肉ボード(OFIVAL)によると、豚肉価格の低迷は下半期も続き、
今年中に上昇する見込みはないとしている。

2002年10月の平均豚肉価格(指標価格)

資料:MLC
注1:枝肉重量ベース
注2:各国の主要市場における指標価格


● ● ● 供給過剰局面は持続 ● ● ●

 OFIVALは、豚肉価格の低迷の要因として、安定的な供給を挙げている。
OFIVALによると、2002年上半期の豚肉生産量(と畜重量ベース)は、前年同期
比2.2%増の874万トンとしている。現在、EUでは豚肉の生産量は増加傾向にあ
り、各国の飼養頭数は、ベルギーやオランダなどでは環境問題の影響により減
少しているものの、スペインを始めとしたその他の国では増加している。その
ため、今後、豚肉の生産量が急激に減少する可能性は低いとみられる。

 一方で、OFIVALは、EU域内の豚肉消費量が減少すると見込んでいることから、
供給過剰の状態は引き続くとみられる。

元のページに戻る