アルゼンチン、2002〜2004年豚コレラ撲滅計画を策定


OIEによる豚コレラ清浄国のステータス認定が目的

 アルゼンチン農畜産品衛生事業団(SENASA)のカネ総裁は10月15日に、「20
02〜2004年豚コレラ撲滅計画」を発表し、「豚コレラを撲滅することは、豚肉
輸出の拡大と養豚部門への投資を促す門戸を開くものだ」と述べた。

 アルゼンチンの豚コレラ対策は、家畜伝染病の侵入およびまん延防止等を目
的とした法律第3959号のうち畜産関係者等への立入調査権等を大統領から行政
に付与した第10条(1967年2月2日改正)に基づき、以下のような対策が実施さ
れてきた。

@ 決議第498号(1981年11月4日):全国的なワクチン接種の義務付け

A 決議第79号(1993年1月18日):豚コレラワクチンの品質を管理するにあ
 たり、温度管理など技術的に順守すべき事項を規定

B 決議第1067号(1994年9月22日):家畜衛生対策プログラムへ参加する開
 業獣医師の資格を規定するとともに、その登録制度を創設(ただし、養豚関
 係は1996年から実施)

C 決議第392号(1998年7月2日):豚コレラをコントロールする目的で、199
 8〜2000年撲滅計画を策定(ただし、ウイルス活性調査が終了しなかったた
 め、2001年まで延長)

D 決議第779号(1999年7月26日):家畜疾病のまん延防止を図るための全国
 衛生緊急システムを策定

E 決議第354号(2001年3月9日):ワクチン接種の免除およびワクチン接種
 の有無にかかわらず豚コレラ・フリーである証明書を取得するために、生産
 者が実施すべきバイオセキュリティー関係の事項を規定

 今回、決議第834号(2002年10月11日)において定められた「2002〜2004年
豚コレラ撲滅計画」についてSENASAは、1998〜2000年計画で実施したウイルス
活性の調査結果がゼロであったことに基づき、2004年5月に国際獣疫事務局
(OIE)から豚コレラ清浄国のステータスを得るために、2003年4月を目途にワ
クチン接種を中止することが大きな目的であるとしている。


業界団体は、撲滅による経済効果を期待

 アルゼンチン養豚協会(AAPP)のウチェリ会長は、「1800年末にアルゼンチ
ンで最初に発見された豚コレラは、一世紀以上にわたり経済的被害をもたらし
てきた。現在も関係者は注意して監視を続け、幸いなことに99年5月から約3年
半確認されていない。豚コレラが撲滅されれば、養豚産業に2億5千万ペソ(約
85億円:1ペソ=34円)の投資を促し、1万5千人分の職場を確保することにな
る。さらに、通貨下落により相対的に価格競争力がついており、穀物を輸出す
るだけでなく、穀物に高付加価値をつけて販売するための雇用を伴う生産形態
への移行が可能となる」と語った。

 また、カネ総裁は、「AAPPがまとめた資料に生産コストの分析があるが、ア
ルゼンチン産豚肉はキロ当たり0.47ドル(約57.8円:1ドル=123円)、ブラジ
ル産が0.49ドル(約60.3円)、チリ産が0.63ドル(約77.5円)となっている。
衛生上の問題を解決して日本、ロシア、米国などの市場へアクセスできるよう
になれば、アルゼンチンの生産性の高さを輸出というかたちで有効に利用でき
ることになり、豚コレラ撲滅計画の重要性が理解できるであろう」と語った。

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