◇絵でみる需給動向◇
米国農務省(USDA)は昨年12月、2001/02年度(10月〜9月、以下 同じ)の飼料穀物の需給予測を公表した。これによると主な国の需給・貿易動向 は以下の通りとなっている。
12月公表の飼料穀物の需給予測では、2001/02年度の飼料穀物の供給 量は、3億1,820万トン(前回予測と同じ)、需要は2億7,430万トン (前回予測と同じ)と予測され、先月公表の予測と変化はなかった。 トウモロコシの生産量は、昨年より4.2%減の2億4,247万トンと見込 まれている。トウモロコシの総供給量は、約2億9,200万トンで、需要は約 2億5,100万トンにとどまると見込まれている。また、輸出量は5,200 万トンと見込まれ、昨年初めの予測から6%ほど増加している。
アルゼンチンでは、2001/02年度のトウモロコシ生産は、中央部で10 〜11月にかけて雨が多く、作付けの遅れや作付面積の減(前年度比16%減) により、昨年より300万トン減(同19%減)の1,250万トンと予測され ている。同国農牧水産食糧庁によると、11月末現在で、72%の作付けが終了 している。通常トウモロコシの作付けは、9月に始まり、10、11月で大半が 作付けられ、12月初旬に終了することから、ここ5年間で最も遅いペースとな っている。 また、この生産量の減少により、輸出は150万トン減少すると見込まれてい る。しかし、この輸出減少は、ブラジルのトウモロコシ輸出増加により穴埋めさ れる見込みである。一方、大豆作付面積は増加している。 2001/02年度 の大豆作付面積は、前年度比8%増の1,110万haと予測されている。このた め、生産量は、前年度比6%増の2,880万トンと見込まれている。
アルゼンチンの国際穀物貿易に占めるシェア(輸出)は、現在10〜16%程 度となっており、シェアそのものは米国に比して小さいものとなっている。しか し、今回の経済危機を契機とした通貨調整(40%切り下げ)により、為替安を 武器に今後輸出を増大させていくことが想定され、今後の国際穀物相場に大きな 不確定要素になるものと考えられる。 ◇図:国際貿易に占めるアルゼンチンの穀物輸出シェア(2001/02年度)◇
中国が、トウモロコシの輸出をキャンセルし、最近、米国のトウモロコシを買 い付けたことにより、今後の予測を大きく変化させ、中国の純輸出国としての地 位を急激に後退させるものとなっている。中国の2001/02年度のトウモロ コシの輸入予測は、最近買い付けを行ったことから、100万トンと見込まれて いる。 中国の飼料業者等は、WTO加盟後に国際市場への参入が容易になると期待して いる。しかし、輸入割当の配分メカニズムが明確でないなどまだまだ不確定要素 がある。 ◇図:中国のトウモロコシ輸出入量の推移◇ また、台湾はWTO加盟により、食肉の輸入が増加し、食肉の生産が減少すると 考えられることから、飼料原料であるトウモロコシの輸入が減少すると予測され、 2001/02年度の輸入量は前年度比6%減の470万トンと見込まれている。
元のページに戻る