◇絵でみる需給動向◇
豪州農林漁業省(AFFA)の統計資料によると、2001/02年度上半期(7 〜12月)の牛肉輸出量(船積みベース)は、前年同期比2.5%減の47万3, 854トンとなった。7月と8月の輸出量は前年同月を上回ったものの、9月以 降は月を追うごとに前年同月との比較での減少率が大きくなっていった。しかし ながら、上半期としては、過去最高を記録した昨年度(2000/01年度)に 次ぐ記録であり、高水準を保ったといえる。 ◇図:牛肉輸出量の推移◇
上半期の輸出量を輸出国別にみると、米国向けが前年同期比4.6%増の20 万4,293トンと最も多くなっている。米国向けは、2001年を通じて需要 の強さや豪ドル安の為替相場を背景に好調さを保ち、豪州産牛肉のクォータ枠を 初めて満たすほどの状況となった。11〜12月には、枠外税率の適用を逃れる 動きから輸出量が減少したものの、上半期としては前年同期を上回った。 米国に次ぐ輸出先である日本は、前年同期比10.2%減の14万7,707 トンとなった。日本でのBSE問題により、月ごとの輸出量は前年同月比で、10 月2.1%減、11月26.5%減、12月48.2%減と減少率が大きくなって いる。 その他の輸出先については、韓国が前年同期比0.1%増の3万8,438ト ンと前年の水準を維持し、カナダは同6.9%増の2万7,306トンと大きく 増加した。 2001/02年度上半期の牛肉輸出は、北米向けが好調であったのに対し、 日本をはじめ、台湾、フィリピン、マレーシアなどのアジア向けへの輸出が不振 となっており、地域ごとに大きく異なる結果となった。 ◇図:上半期の国別牛肉輸出量◇
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、2002年の牛肉輸出は、米国 向けについては新年を迎え、クォータ枠に制限されないことから、順調に開始さ れるとみている。しかし、豪州の肉牛・牛肉産業にとって、もっとも輸出額の大 きい日本におけるBSE問題の影響などの懸念材料もある。また、高騰していた肉 牛価格も2002年には下落するとみている。 2000/01年度までは好況に沸いていた肉牛・牛肉産業が、2001/0 2年度上半期には大きな懸念材料も抱えることなった。2002年の米国向け牛 肉のクォータ枠について拡大要求や日本における消費促進活動も行われているが、 これらの動向が注目される。
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