EUの牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○改善に向かうEUの牛肉需給動向


牛肉の特別買上制度の延長を決定

 EU委員会は12月19日、直近のEU牛肉需給動向に関する資料を公表した。こ
れによると、EUの牛肉価格対策として実施している牛肉介入買上による在庫数量
は、EU15ヵ国合計で25万3千トンと前回(11月)の公表時点から小幅な増
加にとどまった。一方、特別対策として実施している、30ヵ月齢を超える牛を
対象とした牛肉の特別買上制度(各国別に廃棄も可能)の買上数量については、
合計で16万5千トンと前回から4万トンの増加となった。このうち、約5万ト
ン強については将来的な市場流通を目的として在庫として残っているが、残り約
11万トン強については、加盟各国ごとに人道的援助向けや廃棄などさまざまな
対応が取られている(予定を含む)。この特別買上制度については、当初、20
01年末での終了が予定されていた。しかし、依然牛肉の需給バランスが回復し
ていないことから制度の継続を求める声が強く、EU委員会は2002年3月末ま
での期間延長を決定している。牛海綿状脳症(BSE)問題の再燃・拡大を契機に
下落傾向にあった牛肉価格は、これら対策の実施により小幅ながらも回復に向か
いつつある。

EUの牛肉介入買上数量(各国別:12月現在)

 資料:EU委員会


総飼養頭数は前年並みの8,300万頭台の見込み

一方で、EU域内の牛飼養動向については、牛肉価格の低迷により農家保留が高ま
ったことから、ここ数年の減少に歯止めがかかりつつある。EUの牛飼養頭数は、
96年のBSE問題の発生、生乳生産割当(クオータ)制度下での乳牛1頭当た
り乳量の増加など、いくつかの要因により95年をピークに下降傾向となってい
た。EU統計局が発表した2001年6月時点の牛の飼養頭数は、一部加盟国の飼
養頭数は未集計ながらも、イギリスやオランダなど数ヵ国を除き全体的に増加傾
向であることから、最終的には前年同期並みの8,300万頭台を維持するとみ
られている。

EU主要国の牛飼養頭数(2001年6月)

 資料:EU委員会
 注1:数値は暫定値
  2:ベルギーにはルクセンブルグを含む


牛肉消費水準はマイナス4%台まで回復

 このような中で域内の牛肉消費は、小幅ながらも順調な回復をみせている。E
U委員会によると、12月時点の牛肉消費水準は前々年同時期と比較してEU全体
平均で4.83%の減少となり、前回公表された11月時点の数値と比較して0.
42ポイントの改善となった。通常、年末にかけて牛肉需要は最大のピークを迎
えることから、EUの主要牛肉消費国を中心に今後の改善が期待されている。EU委
員会では2001年の牛肉消費水準について、2001年末に初のBSE発生が確
認されたオーストリア、フィンランドの牛肉消費への影響が懸念されるものの、
最終的に10%程度の減少になると予測している。

EUの牛肉消費水準(BSE問題再燃以前との比較)

 資料:EU委員会
  注:各月とも2001年

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