◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2001年の牛肉生産量(枝肉重量ベース)は、 史上初めて1,200万トン台を達成した前年に比べ、2.7%減の1,182 万トンとなった。これは、2001年の冬が92/93年以来最も厳しいものと なったことに伴い、フィードロットからの出荷停滞によりと畜頭数が前年比2. 5%の減少となったことや寒さから牛の増体が進まず、1頭当たりの枝肉重量が、 前年比0.1%減とわずかながらも前年を下回ったことなどによるものとみられ る。 ◇図:牛肉生産量および枝肉重量の推移◇ 種類別と畜頭数を見ると、肉用経産牛は、主要な生産地での降雪やその後の干 ばつにより牧草の状態が悪化し、購入粗飼料価格も値上がりしたため、とう汰さ れたケースが多かったことから、夏の干ばつにより記録的なと畜頭数となった9 8年に次いで、前年比11.1%増の316万2千頭となった。一方、全体の約 5割のシェアを占める去勢牛は前年比4.2%減の1,730万9千頭、未経産 牛が同3.7%減の1,159万2千頭、乳用経産牛が同1.3%減の263万9 千頭といずれも前年を下回ったことから、全体では、3,533万5千頭と前年 比2.5%の減少となった。 ◇図:種類別と畜頭数の増減率◇
飼料価格は、フィードロット業者にとって好ましい水準であり、肥育素牛価格 も2001年前半は強含みで推移したが、干ばつの影響から未経産牛は、繁殖用 として保留されずにフィードロットへの出荷が進んだとされることから飼養頭数 は縮小傾向にある。95/96年をピークとしたキャトルサイクルは引き続き下 降局面に向かい、特に未経産牛の保留により牛肉生産は2004年にかけて減少 するものとみられる。
卸売価格は需給の減退などから低落傾向にあるとみられる。12月の卸売価格 (チョイス級、枝肉550〜700ポンド)は、前年同月比10.2%安の11 3.5円/100ポンド(約333円/kg)と前月に引き続き前年同月比を下回 った。一方、小売価格(チョイス級の加重平均)も、6月の347.7セント/ ポンド(1,020円/kg:1ドル=133円)をピークに弱含みの傾向にある。 USDAによると、小売価格は、この冬にかけて今後も引き続き値を下げるものと予 測されている。 また、USDAによると、2001年の牛肉輸出量は、前回11月28日の見通し をさらに下方修正し、前年比12〜13%減と見込んでいる。この減少要因とし ては、米国の価格が高水準であること、世界的な景気低迷、そしてアジアでのB SE問題がある。
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