豪州の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○好調を予測する乳製品の輸出と国際市況


乳製品輸出額が約2割増の予測

 豪州農業資源経済局(ABARE)が12月に発表した需給予測によると、200
1/02年度(7〜6月)の乳製品輸出額は、前年度を19.8%上回る36億
5千万豪ドル(約2,518億5千万円:1豪ドル=69円)になると予測して
いる。2000/01年度の乳製品輸出は、国際市況が好調であったことを背景
に30億豪ドル(約2,070億円)の大台を突破したことが関係者の間で話題
となったが、今年度はそれをさらに上回る予測となった。

◇図:乳製品輸出額の推移◇


国際市場での高値が予測される全粉乳とチーズに生産が傾斜

 この需給予測によると、2001/02年度の脱脂粉乳の平均国際価格は、前
年度比3%安になるとみている。これは、脱脂粉乳の主要市場である東南アジア
における需要やEUにおける飼料用脱脂粉乳の需要が弱まること、米国における過
剰在庫などが要因とされている。また、これまでも他の乳製品に比べて低い水準
であったバターの平均国際価格は、大きな市場であるロシアにおける需要回復が
見込めないことなどから前年度をわずかに下回り、引き続き低い水準で推移する
とみている。

 これに対して、全粉乳の国際平均価格は前年度比5%高と予測されている。9
9/2000年度以前の全粉乳の国際価格は脱脂粉乳と比較して高値となってい
たが、それ以降の全粉乳価格は脱脂粉乳と同水準、もしくはこれを下回っていた。
今後は価格の高い脱脂粉乳の代わりに原料乳製品として調達されることから需要
が高まるとみている。また、飲用向けに使用される全粉乳需要も高まるとみてい
る。

 一方、チーズの平均国際価格は、前年度比8%高と大きく上昇すると予測して
いる。最高値を記録した2001年6月に比べると、現在の価格は下がっており、
世界経済の停滞など不安材料はあるものの、需要は安定しているとの見方がされ
ている。

 乳製品輸出額の大幅増を予測した背景にはこのような乳製品市況の予測があり、
豪州の乳製品生産は高値が予測される全粉乳やチーズなどを中心に需要に応じて
行われる。

◇図:乳製品の平均国際価格の推移◇


NZと比べて楽観的な見通し

 ABAREによる短期的な国際乳製品市況は明るい見通しとなっているが、実際の
主要な乳製品の国際価格は2000年後半をピークに停滞・下落傾向にある。乳
製品の輸出国であるニュージーランドのフォンテラが今後の市場動向について厳
しい見方をしているのに比べると(本号需給動向 牛乳乳製品(ニュージーラン
ド)参照)、楽観的な見通しであるといえる。この予測どおりに2001/02
年度の乳製品輸出が好調となるか、注目したい。

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