◇絵でみる需給動向◇
2001年のニュージーランド(NZ)産主要乳製品の輸出価格は、前半は堅調 な需要を反映して比較的高い水準で推移していたものの、10月以降は前年同月 を下回る製品も出てくるなどこれまでの上昇傾向に陰りが見えてきた。 製品別に見ると、99年10月以降上昇し、一時は前年同月を2倍以上上回る 高い水準で推移していた脱脂粉乳価格や2000年1月以降上昇傾向を続けてい た全粉乳価格とも、それぞれ2001年10月に前年同月を下回り、12月まで 3カ月連続の下落傾向で推移している。 また、バターについては、98年後半からの国際価格の低迷の中で、NZの輸出 価格は2000年7月から16カ月に渡って上昇した。しかし、2001年11 月には前年同月を下回り12月の輸出価格もさらに下落した。 一方、チーズの輸出価格は、2000年2月から上昇傾向を維持しており、2 001年12月の輸出価格は前年同月比8.5%高と高い水準となっている。し かし、チーズに対する国際需要は緩和しているとの見方もあることから、この上 昇傾向が続くには厳しい状況といえる。 ◇図:乳製品輸出価格の対前年同月増減率◇
NZ最大の乳業メーカーであるフォンテラは、ここ2年間、NZ産乳製品の輸出が 量、額ともに好調であった要因として、国際市場からの強い需要とこれを反映し た乳製品国際価格の高値、EUによる脱脂粉乳の輸出補助金が99年10月から2 001年10月までゼロもしくは低水準にあったことなどを挙げている。 しかし現在は、EU市場における乳製品価格の低下や東南アジアなどの粉乳市場 における需要の緩和などにより、乳製品の国際市場環境は変化している。また、 EUの輸出補助金の引き上げなどにより状況の変化は今後も続くものとみており、 フォンテラは、これまでのようなNZ乳業界にとって有利な状況にはないことを強 調している。
このように厳しい状況の中、NZでは、これらの市場動向を反映した乳製品生産 が行われている。NZでは、需要の強いチーズ、カゼイン、脱脂粉乳の生産に重点 を置いて行っており、生産量の増大や生産コスト削減により、輸出量拡大の努力 も行っている。しかしその一方で、フォンテラは、NZ乳業界にとって最も重要な ことは貿易の自由化であると述べ、WTO交渉の進展と成果に期待を寄せている。 また、豪州の乳業界と協力して、乳製品の国際市場におけるNZ・豪州産乳製品の シェア拡大を目指すとしている。
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