米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○2001年の生乳価格は大幅に回復


生乳生産量は12ヵ月ぶりに前年同月増

 米農務省(USDA)によると、11月の生乳生産量は、前年同月比0.4%増の
602万トンと12ヵ月ぶりに前年水準を上回ったものの、2001年通年では、
前年を下回る見通しとなった。生乳生産量は、生乳価格が高水準で推移してきた
ことや、飼料価格が安いことなどから増加するものとみられていた。しかし、経
産牛頭数と1頭当たりの乳量がいずれも前年より減少したことから、2000年
12月以降、おおむね前年水準を下回って推移し、通年では前年比1.4%減の
7,500万トンと見込まれている。

 11月の搾乳牛頭数は、前年同月比1.0%減の7,727万頭となった。更
新用の未経産牛の価格は99年後半から高値で推移しているため、更新が進んで
おらず、頭数不足は続いている。

 1頭当たりの乳量は、粗飼料の質の低下や天候の影響から2000年11月か
ら2001年8月まで前年水準を下回った。更新されるべき牛が保留されている
ことが、乳量の低下に拍車をかけたものとみられる。乳量は9月から3ヵ月連続
して、低い伸び率ながら前年同月を上回ったものの、通年では前年同月比0.3
%減の8,233kgと見込まれている。


2002年の生乳生産量は増加の見込み

 また、粗飼料の質の低下や、搾乳牛群に通常であればとう汰される牛が含まれ
ていることから、2002年の半ば頃まで1頭当たりの乳量に影響するとみられ
る。このため、1頭当たり乳量が、2002年の早い時期に増加基調に戻ること
は期待できない。

 しかし、USDAでは、2001年のような厳しい寒さや干ばつといった天候の影
響がなければ、乳量は回復するものとみており、前年比3%増またはそれ以上の
増加を見込んでおり、その結果、2002年の生産量は、前年に比べ2〜3%の
増加と予測している。

◇図:1頭当たり平均乳量◇


生乳価格は前年を大幅に上回る見込み

 生乳価格(飲用向け乳価と加工原料乳向け乳価の加重平均)は、2000年1
2月以降、前年同月を、平均して20%程度上回って推移している。2001年
8月には、99年1月以来の100ポンド当たり17ドル(約49.8円/kg:
1ドル=133円)を記録するなど、高水準で推移してきた。USDAによると、2
001年年間平均の価格は前年比21〜22%高の14.90〜15.00ドル/
ポンド(約44円/kg)と見込まれている。

 2002年の乳製品の需要動向は景気動向により、引き続き不透明感があるが、
価格が急激に低下することなく、予測されている生産量の増加分も吸収した上で
安定的に推移するものとみられている。

◇図:生乳生産量および生乳価格の推移◇

元のページに戻る