◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)が四半期ごとに発表する豚の飼養動向調査によると、200 1年第4四半期(12月1日現在)の豚の総飼養頭数は、前年同期(5,913 万8千頭)と比べ、0.6%減の5,877万4千頭となった。総飼養頭数は、 98年秋の肥育豚価格の暴落を契機に減少傾向が続いているが、2001年につ いても、景気後退の影響などで依然として増頭に慎重な経営が多いとみられるこ とから、年間を通じて前年同期を下回る結果となった。 区分別の飼養動向を見ると、繁殖豚(雄を含む。)が前年同期比0.1%減の 620万9千頭、肥育豚が同0.6%減の5,256万4千頭となった。9月の 前回調査に比べると、肥育豚は0.6%減となっているものの、繁殖豚について は、0.8%とわずかに増加している。 豚の総飼養動向(2001年12月1日現在) 資料:NASS/USDA「Hogs and Pigs」 注1:戸数は、2001年に豚を飼養した実績のある経営体数 注2:肥育用、繁殖用ともに雌雄の計
米国国内での総飼養頭数が減少傾向にある中で、生体豚輸入は増加傾向にある。 2001年通年では、前年比23%増の538万頭と見込まれている。これは、 米国の生体豚輸入の大半を占めるカナダでは、繁殖豚の飼養頭数は年々拡大傾向 にあり、子豚の生産も増加しているとみられ、これら増頭分が輸出に回されてい るためとみられる。 2001年10月までの累計で、米国における生体豚輸入頭数の60%弱が肥 育向けであったとみられる。5年前の輸入頭数に占めるその割合は28%だった が、この著しい伸びは、カナダからの肥育向け豚の輸入の大幅な増加によるとこ ろが大きい。この背景として、@米国のと畜処理能力がより高いこと、A米国は カナダに比べ、とうもろこし、大豆ミールといった飼料コストが安いこと、B2 001年は主要な穀物生産地帯であるオンタリオ州が干ばつの影響を受けたこと、 Cカナダでは、たい肥処理の問題がある一方、カナダ産輸入子豚の大半が肥育さ れる米国のコーンベルト地帯で肥料需要が多いという補完関係にあることが挙げ られる。 2002年の生体豚の輸入は前年比4%増の560万頭が見込まれ、その大半 がカナダからの輸入と見られる。 ◇図:カナダからの生体輸入推移◇
2001年の生産量は、1頭当たり枝肉重量の増加などから前年比1%増の8 63万7千トンと見込まれている。また、2001年の肥育豚価格は生産量が前 年より若干増えているものの、国内や輸出需要に支えられ、2000年の44. 7ドル/100ポンド(約131円/kg:1ドル=133円)をさらに1ドル程 度上回るものと見込まれている。 2002年については、生産量は前年水準並み、肥育豚価格は、景気低迷と輸 出量の減少から前年に比べ弱含みの43〜44ドル/100ポンド(約126〜 129円/kg)と見込まれている。
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