欧州裁判所、フランスのイギリス産牛肉禁輸に違法判決


フランスは、99年8月のEUレベルの解禁以降も輸入禁止を継続

 欧州裁判所は12月13日、EU加盟国の中で唯一フランスが行っているイギリス
産牛肉の禁輸措置について、EU規則に対し違法であるとの判決を下した。EUで
は、96年3月のイギリスの牛海綿状脳症(BSE)問題発生を受けて、イギリス産
牛肉の輸出は全面的に禁止となったが、その後のさまざまな対策の実施が功を奏
し、99年8月にこの規制は解除された。しかし、フランス政府は、イギリス産牛
肉の安全性を疑問視し、EUの決定を時期尚早としてイギリス産牛肉の輸入禁止を
継続していた。この問題は、イギリス、フランス両国間で大きく取り上げられ、
イギリスではフランス産農産物の不買運動にまで発展し、フランスでは英仏間を
結ぶユーロトンネル出口の封鎖など、感情的なあつれきが高まっていた。EU委員
会は、フランスの主張は科学的根拠に乏しいとし、生年月日に基づくイギリスの
輸出措置(DBES)の管理の下で輸出される牛肉の安全性に問題はないとして、フ
ランスを欧州裁判所に提訴していた。


注目されるフランスの今後の対応

 今回の判決によりフランス政府は、早急にイギリス産牛肉の輸入を解禁するか、
引き続き違法行為を続けるかの選択を迫られることになる。今回の判決を受けて
EU委員会のバーン委員(公衆衛生・消費者保護担当)は「規則を守ることがEUの
明確な方針であり、フランスが判決に従いイギリス産牛肉の輸入禁止を早急に是
正することを期待する」とコメントした。また、イギリス最大の農民団体である
NFUは「EUの判決を歓迎する」との声明を出している。一方、違法判決を出され
たフランス側のグラバニー農相は「今後の対応については、欧州裁判所の判決を
再度読み直し、検討する必要がある」とコメントするにとどめている。EUでは、
今後の東方拡大を控える中で、規則の遵守こそが加盟各国を束ねる最重要事項と
されていることから、EUの中心国であるフランスは、解禁に向けた動きを取らざ
るを得ないとの見方が強まっている。

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