2001年第3四半期の畜産は引き続き成長(中国)


食肉全体の生産量は前年同期比4.7%の増加

 中国の統計資料によると、2001年第3四半期までの畜産は、夏作穀物の減収に
より上半期にトウモロコシの価格が上昇を続けたにもかかわらず、安定した発展
を続け、生産量も全面的に増加していることが明らかとなった。中国全土の30省、
自治区、直轄市(チベットを除く)の畜産統計によると、2001年1〜9月の食肉
生産量は合計で4,859万9千トンと、前年同期比4.7%の増加となった。このうち、
豚肉の生産量は3,209万5千トンで同3.4%の増加、牛肉の生産量は401万2千ト
ンで同3.5%の増加、羊肉の生産量は208万1千トンで同9.7%の増加、家きん肉
の生産量は908万8千トンで同12.6%の増加となった。


豚の飼養頭数は1.1%増、牛は0.6%の減少に

 2001年第3四半期における豚の飼養頭数は、中国全土合計で4億6,466万頭と
前年同期比1.1%の増加となった。このうち、飼養頭数が2,500万頭を超えたのは、
河北省、山東省、河南省、湖南省、四川省の5つの省となっている。また、河北
省を除きいずれも前年同期比で増加となっている。一方、繁殖用雌豚の飼養頭数
は3,934万4千頭と前年同期比1.3%の増加になったものの、飼養頭数に占める割
合は8.5%と前年同期比0.4ポイントの減少となった。第2四半期では、これが0.
2ポイントの減少であっただけに減少幅が広がりつつある。特に山東省の減少幅は
大きく、前年同期比8.2%の減少となった。一方、牛の飼養頭数については、合計
で1億2,975万8千頭と前年同期比0.6%の減少となった。このうち、飼養頭数が
1,000万頭を超えたのは、河南省、山東省、四川省の4つの省であるが、四川省
を除きいずれも減少している。飼養頭数減少の要因としては、ここ数年、肉牛市
場において若齢牛価格が好調なことから、早期出荷傾向が一段と強くなっている
ことによるとみられている。


畜産物価格の上昇により好調な農家収益

 2001年上半期には、畜産物価格に変動が見られたものの、毎月の価格は昨年と
比較してすべてについて上昇している。また、7月以降についても畜産物価格は
上昇を続けている。2001年第3四半期までの畜産物の平均価格は、豚肉が10.66
元(約169円:1元=15.9円)/sと前年同期比7.1%の上昇、生体豚が6.04元
(約96円)/sと同5.2%の上昇、牛肉は12.09元(約192円)/sと同2.4%の
上昇となった。このような畜産物価格の上昇は、畜産農家に好影響を与えている。
2001年は、穀物収量の減少などからトウモロコシ価格は上昇を続け、農家の生産
コストも増加傾向となっていた。しかしながら、河北省、遼寧省、黒竜江省、吉
林省、江蘇省、安徽省、江西省、山東省、河南省、四川省の11の省を対象に政府
が実施したサンプル調査結果によると、農家で1頭当たりの豚を飼養する際の生
産コストは平均で375元(約5,963円)、収益は73元(約1,161円)となり、肉牛
については1頭当たり平均で1,306元(約20,765円)、収益は373元(約5,931円)
と、いずれも前年に比べて収益は増加傾向となった。


農業構造の改革には、畜産業の発展が重要と位置付け

 このように畜産全体が成長を続ける背景には、国内での畜産物需要拡大が最大
の要因として挙げられるが、生産を強化するための各種政策の実施も大きな要因
である。中国では、農業構造の改革、農民の収益増加の観点から、中央レベル、
省レベルで畜産業の発展が重要な課題として認識されている。このため、共産党
委員会、省政府の名の下にさまざまな対策を打ち出し、畜産物生産の発展に政策
的な保証を与えている。例えば、河南省では「畜産業の発展強化に関する決定」、
「主要畜産物生産加工基地の建設の実施について」、湖南省では「養殖業の発展
加速に関する通達」などがある。また、江蘇省政府は、畜産に関し生産から加工、
流通分野での産業育成を構築するための政策を打ち出している。吉林省政府も、
農村の産業構造改革の重点は畜産業の発展にあることを明確に示し、畜産業の生
産額が全農業生産の5割に達するとした計画を策定している。

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