BSEをめぐる最近の米国内の動き


日本市場での米国産牛肉の販売 プロモーションに追加的なテコ入れ

 昨年9月の日本におけるBSE発生に伴う牛肉消費の減少に対し、日本を海外
における最大の顧客とする米国内の牛肉業界関係者もかなりの危機感を募らせて
いる。

 米国食肉輸出連合会(USMEF)のセンゲ会長が11月下旬に出したコメントによ
れば、日本におけるBSE発生から最初の1ヵ月間で米国産牛肉の輸出金額は8千
万ドル(約106億円:1ドル=133円)以上減少し、これを肥育牛生体100ポンド
当たりに換算すれば2.5ドル(333円/kg)、1頭当たりでは36ドル(4,788円)
に相当するとし、今後、日本向けの販売プロモーションのテコ入れを図るため、
当初のキャンペーン費用の170万ドル(2億34万円)の追加的財源を充当すると
の意向も明らかにしている。


USDA、対日輸出回復のため、食肉業界からのBSEフリー証明要請に対応

 さらに12月10日には、米国食肉協会(AMI)、全米牛肉・肉牛生産者協会(NC
BA)およびUSMEFの業界団体が、ベネマン農務長官に対し、日本の消費者におけ
る米国産牛肉の信頼回復を目的とした要請を行った。その具体的な内容は、日本
でのBSEの発生で米国の牛肉輸出は多大な損失を受けており、米農務省(USDA)
に対し、「厳格な監視と検査によって、米国内の牛群にはBSEが存在していない
ということが証明されている」という旨の適切な文言を輸出証明書に記載するよ
う求めるというものである。

 この要請を受け、USDA食品安全検査局(FSIS)は、12月20日付けで日本向け
食肉製品の輸出条件を改正し、その中の牛肉製品については、FSISが発行する輸
出証明書において、「米国は、BSE清浄国とみなされるためのすべての国際的ガ
イドラインに適合し、またはこれを上回っている(The United 
States meets or exceeds all of the international 
guidelines to be considered free of BSE)」という
文言が記載されなければならない、という条件を追加した。


米国内の消費者は、米国産牛肉を信頼

 一方、米国内の消費者は、米国産牛肉に対し、その安全性の面で大きな信頼感
を抱いてることが明らかになった。NCBAが12月21日に公表した米国内の成人を
対象にしたサンプリング調査の結果によれば、米国産牛肉がBSEに対して安全で
あることを確信すると回答した消費者は、2000年12月の82%から2001年12月に
は89%にまで増加している。この理由についてNCBAは米国では、輸入禁止、積極
的なサーベイランスおよびほ乳動物由来たん白質の反すう動物への給与禁止とい
う3重の防御策(firewalls)が奏効して、米国内におけるBSEの発生が食い止め
られており、このことは、先のハーバード大学によるリスク評価でも認められて
いること、消費者に対しては、こうした取り組みによって国内にはBSEが発生し
ていないという事実を理解してもらうよう、業界がBSEに関する積極的なリスク・
コミュニケーション活動に努めていることなどを挙げている。

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