◇絵でみる需給動向◇
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、米国時間の12月4日、豪州の 米国向け牛肉輸出量が、そのクォータ枠である37万8,214トンに到達した。 豪州農林漁業省(AFFA)によると、2001年11月の米国向け牛肉輸出は、 米国のクォータ枠である37万8,214トンのうち98.0%を消化していた。 豪州からの牛肉輸出が米国のクォータ枠に到達するのは今回が初めてのことであ り、11月末の時点ですでにこれまでの米国向け牛肉輸出記録を更新していた。 MLAでは、2001年の米国向け牛肉輸出量は39万トンに達すると予測して おり、米国向け牛肉輸出が好調な要因として、需要が強いことに加え、為替相場 の豪ドル安が輸出を後押ししたとみている。 ◇図:豪州から米国への牛肉輸出量の推移◇
米国向け牛肉輸出量がクォータ枠を超えると、枠内関税率である1キログラム 当たり4.4米セント(約5.5円)から26.4%の枠外関税率が適用される。 そのため、11月の米国向け牛肉輸出量は、前月比38.0%と大きく減少して いた。また、関係者は枠外税率の適用を免れるため、年内に米国に到着した豪州 産牛肉を年明けまで保税倉庫で保管するものとみられる。
MLAは、11月に続き、12月の米国向け牛肉輸出も、減少傾向が続くとみ ている。しかし、2002年の牛肉輸出は、今年同様、クォータ枠に到達するこ とが確実であるとみている。 報道などによると、来年のクォータ枠について、輸出業者ごとに割り当てる方 式を導入しようとする業界団体の動きがあり、牛肉加工業者はすでに、個々の牛 肉輸出業者に割り当てられる来年のクォータ枠の配分をめぐって輸出業者と契約 交渉を行っているとしている。 また、MLAでは、米国向け牛肉輸出について、少なくとも今後3年間は米国の クォータ枠に到達すると予測している。これは、米国内の牛肉需要が強い中で、 米国のキャトルサイクルの下降局面が続き、と畜頭数と牛肉生産量の減少が予測 されることによる。 輸出量全体の38.8%(2000年)を占める米国向けの牛肉輸出が200 1年には記録を更新し、2002年も好調と予測されていることは、2大輸出市 場のもう一方の日本市場への輸出に大きな懸念材料がある中で、豪州の肉牛・牛 肉産業の先行きにとっては明るい材料といえるだろう。
元のページに戻る