◇絵でみる需給動向◇
EU委員会は11月20日、最近のEUにおける牛肉需給動向に関する資料を公表 した。これによると、域内の成牛価格は、2000年末に再燃した牛海綿状脳症 (BSE)問題の拡大を契機として、一部加盟国を除き依然として大幅な低迷を続 けている。2001年11月第1週の成牛価格について99年同時期との比較で は、乳用経産牛を中心に最高で20%台の落ち込みを見せている。乳用経産牛に ついては、BSEの発生率が高いとされていることから、域内消費が大幅に落ち込 み、それが直接、価格に反映される形となっている。また、若齢牛(おおむね1 2ヵ月齢以下)価格については、消費の中心とされるイタリアなどでの需要低下 により、主要輸出国であるオランダなどの低迷が目立っている。一方で去勢牛価 格については、高級品種に対する潜在的需要から順調な消費回復が伝えられてお り、7%減の水準まで戻りつつある。 EUの成牛価格(99年同時期の水準と比較) (2001年11月時点) 資料:EU委員会
牛肉の価格対策として実施されているEUの牛肉介入買上について、その在庫数 量を見ると、EU15ヵ国合計で25万トンと、前回(10月)の公表時点から1 万トン弱の増加となっている。また、このほかに実施されている特別買上制度 (各国別に廃棄も可能)では合計で12万5千トンと、同じく3万6千トンの増 加となっている。この特別買上制度は、2001年末での終了が予定されている が、牛肉価格が依然として低迷する中では、延長を求める声が出始めている。な お、対象となった牛肉について、一部については援助物資として処分されるもの の、大半はロシア向けなど域外への輸出品に向けられる。しかし、現在の輸出状 況は通常期の7割程度にとどまっており、早急な回復は難しいとされていること から、当面、牛肉の介入在庫量は増加の一途をたどるものとみられている。 牛肉介入在庫量(各国別:11月現在) 資料:EU委員会
このような中で、域内の牛肉消費の動向については、小幅ながらも順調な回復 をみせている。EU委員会によると、11月時点の牛肉消費水準は、前々年同時期 と比較して平均で5.25%の減少となり、前回公表された10月時点の数値と 比較して0.43ポイントの改善となった。しかし、EUの牛肉消費の動向を占う ドイツ、フランス、スペインなどには大きな変化が見られず、これら国々の動向 が今後の消費回復のカギになるものとみられている。EU委員会では、2001年 の牛肉消費について、最終的には年間平均で9〜11%台の減少水準になるもの と予測している。 EUの牛肉消費(BSE問題再燃以前の水準との比較) 資料:EU委員会
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