◇絵でみる需給動向◇
ニュージーランド(NZ)農林省(MAF)が発表した2004/05年度(10 〜9月)のまでの中期牛肉需給予測によると、生産量・輸出量ともに2003/ 04年度をピークとした拡大傾向を示すものとしている。 牛肉生産の5割以上を輸出向けとしており、そのうち約7割を米国向けとして いるNZでは、直接の牛肉輸出だけでなく生産についても米国の影響を大きく受け る。したがって、MAFによる需給動向予測では、米国における牛肉生産や需要動 向を分析要因として予測されている。 ◇図:牛肉生産量と経産牛価格の推移◇
MAFによると、中期的な牛肉生産は、飼養頭数の増加に伴い増加傾向を維持す ると予測している。この要因として挙げているのは、牛肉の市況が好調であるこ とや羊経営に比べて管理が容易なことにより肉牛・酪農経営への移行が行われて いることなどである。ただし、牛肉生産量が2003/04年度をピークとして 減少すると見込まれているのは、NZ国内での牛肉価格が下落することにより乳用 牛を肉用に仕向ける量が減少することが要因であるとしている。 この背景には、米国内における牛肉生産の増加が見込まれることや豚肉や鶏肉 への需要シフトにより、牛肉価格が低下するとの見込みがある。 ◇図:NZの家畜飼養頭数の推移◇ ◇図:牛肉輸出量と米国の牛肉輸入価格の推移◇
2000/01年度のNZ産牛肉輸出は好調であった。米国と日本向け製品を中 心に取り扱っているNZ最大の食肉加工業者であるリッチモンド社は、2000/ 01年度の純利益を前年度比77%増の2,070万NZドル(約11億円:1NZ ドル=53円)になると発表した。年度終盤の8〜9月には家畜の不足による高 値が同社の利益を圧迫したものの、海外市場からの強い需要が続いたことに支え られ、純利益は前年度を大きく上回る結果となった。 2000/01年度に引き続き、2003/04年度まで好調が予測されるNZ 牛肉業界であるが、輸出依存度の高い産業であるがゆえに特に米国の動向次第と もいえる。
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