◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2001年11月の肥育牛価格(ネブラスカ州、 去勢、1,100〜1,300ポンド)は、前年同月比9.8%安の65.0ドル /100ポンド(約179円/kg:1ドル=125円)となった。価格の低下は、 牛肉の供給増の一方、内外からの牛肉の需要が減退したことによるものと見られ る。11月のと畜頭数は減少したものの、1頭当たり枝肉重量が記録的な水準で あったことから、11月の生産量は前年同月比1.7%増の100万1千トンと なった。その中で、ホテル・レストランや輸出向けのチョイス級の牛肉需要は減 少しており、卸売価格の低落傾向が見られる。11月の卸売価格(チョイス級、 枝肉550〜700ポンド)は前年同月比6.0%安の111ドル/100ポン ド(約306円/kg)となった。 ◇図:枝肉重量の推移◇
輸出量は、タイトな国内需給や価格が高水準で推移していることに加え、ドル 高などを背景に2001年春頃から減少傾向にあったが、日本で9月に発生した 牛海綿状脳症(BSE)問題を発端に、さらに減退傾向を強めつつある。2001 年1〜9月の輸出量は、前年同期比13.3%減の75万3千トンとなった。特 に全輸出量の4割以上のシェアを占める日本での消費者の牛肉離れは長期化が懸 念されている。 当初は、米国と豪州は、BSE感染の危険性がほとんどなく、日本向けの輸出へ の大きな影響は見られないとの見方もあったが、USDAによると、第4四半期(1 0〜12月)の輸出量は、前年同期比7%減の25万4千トン、2001年通年 では、前年比13%減の99万8千トンの見込みとなっている。 ◇図:牛肉輸出量の推移◇
USDAによれば2002年の輸出については、わずかながら回復が見込まれ ている。春までの飼養頭数の増加と国内需要の減少から、一時的に国内価格が低 下すると見られることや、アジア通貨に対して為替がドル安に振れると見られる ことなどから、前年比2%増の101万6千トンと予測されている。 しかし、依然として日本でのBSE問題が今後の輸出動向に与える影響が大きい ものとみられる。
元のページに戻る