◇絵でみる需給動向◇
タイブロイラー加工輸出協会がこのほど公表した1〜9月の鶏肉輸出量は、前 年同期比で36.8%増の31万6千トンと大幅に増加した。 1〜9月の輸出動向を形態別に見ると、冷凍鶏肉が前年同期比で34.3%増 の23万1千トン、鶏肉調製品が44.2%増の8万5千トンとなっており、鶏 肉調製品の伸びが冷凍鶏肉を上回る傾向が年初以来続いている。割高な調製品の 大幅な増加を反映して輸出額も大きく増加しており、42.0%高の268億バ ーツ(約777億円:1バーツ=2.9円)となった。
1〜9月の輸出量を地域別に見ると、全体の6割を占めるアジア向けが前年同 期比24.9%増の19万8千トンとなった。そのうち、日本向けは、同9.9% 増の14万トンであるが、アジア向け全体に占める割合は前年同期より10ポイ ント低下している。しかし、日本市場では、今年6月から中国産の輸入が一時停 止されたことなどから、年末需要を控えてタイ産鶏肉の輸入が増大する可能性も 高い。 その他のアジア地域は、韓国向けが前年同期の5.2倍の2万2千トンとなっ たほか、好調な経済を背景に需要が伸びる中国向けが3.6倍の1万トン、マレ ーシア向けが2.3倍の6千トンといずれも大幅に増加した。また、鶏肉調製品 の需要が増大するシンガポールもかなりの程度増加し、9.9%増の1万3千ト ンとなっている。
一方、牛肉や豚肉からの代替需要が進む欧州向けも、前年同期比63.6%増 の11万7千トンとなり、引き続きアジア向けの伸び率をはるかに上回る高水準 の増加を維持している。輸出全体に占める欧州向けの割合は、前年同期から6ポ イント上昇して37%となり、同地域への依存度は一層高まっていると言える。 欧州向けは、ドイツ、オランダおよびイギリスの3ヵ国で全体の95%を占め る構造になっており、ドイツ向けが前年同期比70.0%増の4万2千トン、オ ランダ向けが56.2%増の3万9千トン、イギリス向けが54.7%増の3万ト ンとなっている。また、それぞれ冷凍鶏肉・鶏肉調製品ともに大幅な増加を続け ているが、特にドイツおよびオランダ向けの調製品は2倍近い伸びとなっている。
こうした長期にわたる大幅な輸出増を受け、同協会は10月、4ヵ月振りに2 回目となる今年の鶏肉輸出予測の上方修正を行った。これによると、従来の予測 より5%多い42万トンとしており、その内訳は日本向けが18万9千トン(前 年実績比5.7%増)、欧州向けが15万5千トン(同47.9%増)、その他が 7万6千トン(同54.3%増)となっている。 ◇図:地域別鶏肉輸出状況(2000年1〜9月)◇ ◇図:地域別鶏肉輸出状況(2001年1〜9月)◇
元のページに戻る