◇絵でみる需給動向◇
2000/01年度の酪農生産動向は、生乳生産が前年度比2.7%減となっ たことを受け、乳製品生産も、多くの乳製品で前年度を下回ることとなった。製 品別には、もっとも減少率が大きいのはバターで、前年度比6.9%減の15万 8,420トン、次いでチーズが前年度比3.7%減の35万5,822トン、 脱脂粉乳は前年度と同水準の26万4,630トン、唯一増加したのが全粉乳で 前年度比13%増の21万1,261トンとなった。また、ホエイパウダーやカ ゼインもそれぞれ前年度比17%減、11%減と大きく減少している。 ◇図:乳製品生産量の推移◇
このように、乳製品生産が全体としては前年度比で減少となった最も大きな要 因は、生乳生産の減少であるが、海外市場からの需要が強かった全粉乳について は、これに傾斜した生産を行い、海外需要に応えた。 また、脱脂粉乳、全粉乳ともに高値で推移していたにもかかわらず、脱脂粉乳 生産が増加とならなかった背景は、2000/01年度を通じて国際乳製品市況 が高値で推移した中で、脱脂粉乳と同時に生産されるバターの国際価格が低迷し ていたことが要因であると考えられる。
このように製品ごとに大きく異なった2000/01年度の乳製品生産であるが、 同年度の乳製品輸出額は、前年度を25%上回る30億豪ドル(約1,980億 円:1豪ドル=66円)となった。輸出額を製品別に見ると、最も増加したのが、 脱脂粉乳で前年度比42%増、次いで全粉乳が同40%増、チーズ(チェダーチ ーズを除く)が同34%増となった。 生乳・乳製品生産は好調とはいえなかった2000/01年度であるが、豪ド ル安が大きく影響し、豪州産乳製品への海外からの需要を一層強めた。しかし、 今後の乳製品市場の動向は、米国の脱脂粉乳在庫増などにより需給が緩和すると の予測がされており、豪州乳業界にとって、今後の乳製品市況は必ずしも明るい ものとはならない可能性もある。さらに、これまでは豪ドル安の恩恵をかなり享 受してきたといえることから、為替の動向にも左右される。どのような状況にあ っても、限られた生乳をいかに需要の強い乳製品生産に仕向け、輸出を増加させ るかが課題となってくる。
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