◇絵でみる需給動向◇
ニュージーランド・ナショナル・バンクによると、2001/02年度(6〜 5月)の生乳生産量は、過去最高を記録した前年度をさらに2.9%上回る乳固 形分換算で107万5千トンと予測している。 また、生産者受取乳価も、過去最高を記録した前年度を3.8%上回る乳固形 分1キログラム当たり5.2NZドル(約276円)になると予測している。しか しながら、2002/03年度の生産者受取乳価については、前年度を下回り同 4.1〜4.6NZドル(約217〜244円)程度になると予測している。 ◇図:生産者受取乳価の推移◇
また、ニュージーランド・ナショナル・バンクは、これまで比較的高値で推移 してきた国際乳製品市況は、緩和基調に転じており、最近のデータでは、バター を除き、適正な水準になっているとしている。落ち着きを見せた国際乳製品市況 により、乳製品の売上は減少するとしながらも、乳製品を原料として作られる付 加価値乳製品は、原料調達コストの低下により利益が増加するとみている。 競争相手国の動向については、EUのバター在庫量は季節的な変動はあるものの、 国際市況に影響しないとしている一方で、2000年12月以来大量の在庫を抱 えている米国の脱脂粉乳の政府在庫が29万トンと過剰になっていることから、 この脱脂粉乳在庫が国際市場へ放出されることを懸念している。 ◇図:国際乳製品価格の推移◇
一方、NZ最大の乳業メーカーであるフォンテラによると、2001年6〜10 月までの生乳生産は、前年同期比5.5%増、乳固形分換算で36万8,070 トンとなっている。北島では10月に入り、適度な降雨と牧草の生育に適した気 温により生産は好調となっている。南島でも、11月初めの1日当たりの生乳生 産量が前年同期比12.7%増となるなど、飼養条件が良好であることがうかが える。10月にはNZの生乳生産はピークを迎え、乳製品生産もフル稼働で行われ ている。フォンテラは、市場の需要動向に合わせ、全粉乳やカゼインなどよりも、 脱脂粉乳やチーズといった製品の生産への傾斜が見られるとしている。 また、フォンテラは、2001年11月の生産者受取乳価は、乳固形分1キロ グラム当たり3.65NZドル(約193円)になると発表した。フォンテラも、 今年度の最終的な生産者受取乳価は同5.2NZドル(約276円)になるとみて いるものの、世界経済の後退や情勢不安などから、同5.0NZドル(約265円) 以上であれば、満足すべきだとの見方も示している。 年度の半分を終え、生産のピークを迎えたNZであるが、これまでと異なる懸念 材料も見えてきた。今後は好調な生産を維持しながら、市場の動向を的確に把握 することが一層必要になってくる。
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