◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2001年10月の生乳生産量は、前年同月を0 .3%下回る620万トン、1〜10月の累計では、前年同期を1.7%下回る6, 272万トンとなった。生乳生産量は、経産牛頭数の減少や1頭当たり乳量の低 下などを要因に2000年12月以降、一貫して前年水準を下回って推移してお り、2001年通年では、1.3%減の7,507万トンと見込まれている。一 方、生産者受取乳価は、高水準の乳製品価格を反映して堅調に推移しており、2 001年の平均は、最高値を記録した98年に次ぐ15.05〜15.15ドル/ 100ポンド(約42円/kg)の水準と予測されている。
USDAによれば2002年の生産量については、2001年のような記録的な寒 波や例年以上の酷暑といった天候不順に見舞われなければ、前年の減少からわず かながら回復に向かうとされている。これは、良好な飼料穀物が低価格で供給さ れると見られることによるものであり、1頭当たりの乳量は前年比3.3%増が 見込まれ、2.7%増の7,707万トンと予測されている。この生産量の増加 は、需要の伸びを上回ることから、生乳価格は低下すると見込まれ、USDAの20 02年における年間平均の乳価は、先月公表された見通しを下方修正し、12. 75〜13.65ドル/100ポンド(約35円〜38円/kg)となっている。
乳製品需要は好調に推移し、それに伴い価格も堅調に推移している最近の状況 に比べると、2002年は異なった展開が予想される。2001年第4四半期 (10〜12月)の実質国内総生産(GDP)成長率は、前年比年率換算で−0.5 %、2002年第1四半期(1〜3月)は同0.02%とされており、景気の後 退による乳製品需要の減少も見込まれるが、経済動向を予測することが難しく、 その結果、乳製品の消費・需給動向に不透明感がある。しかし、主に家庭で消費 される牛乳やアイスクリームなどの需要は、外食の回数が増えることで減少する 一方、チーズ、バター、クリームなどのレストラン等での需要が伸びているここ 数年の需要形態に変化はなく、2002年もこの傾向は変わらないものと見られ ることから、安定的に推移するものと見込まれる。 ◇図:生乳生産量および生乳価格の推移◇ ◇図:経産牛頭数および1頭当たり乳量の推移◇
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