EUの豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○横ばいとなった2001年6月期の域内豚飼養頭数



総飼養頭数は前年同期比0.1%減の1億2,090万頭

 EU統計局は、2001年6月時点のEU加盟13ヵ国(ギリシャ、ポルトガルは
未公表)における豚の飼養頭数調査結果を公表した。これによると、EUの総飼養
頭数は前年同期比0.1%減の1億2,090万頭となった。EUでは年2回(6
月時点、12月時点)、加盟各国の豚飼養頭数を調査し、その結果を公表してい
る。EUの豚飼養頭数は、豚肉需要の拡大を背景におおむね増加傾向で推移してき
たが、99年12月以降、豚肉価格の低迷や畜産を取り巻く環境問題の高まりな
どから、総飼養頭数は減少に転じていた。しかし、2000年末に再燃した牛海
綿状脳症(BSE)問題の拡大は、豚肉価格を上昇させており、主要生産国を中心
に飼養頭数は増加した。


主要生産国は増加に、口蹄疫発生でイギリスは1割減

 国別の飼養動向を見ると、ドイツ、フランスなど主要豚肉生産国のいずれもが
増加となった。これは、BSEを背景とした豚肉価格の上昇が養豚農家の生産意欲
を刺激したものとみられている。中でも、スペイン、デンマーク、イタリアの3
ヵ国については、前回2000年6月時点の調査に続き増加となっている。スペ
イン、イタリアについては、国内での豚肉需要拡大を背景に生体豚輸入が増加し
たこと、また、デンマークについては、域内向けを中心とした輸出需要を背景と
した飼養規模拡大などが増加の要因として挙げられる。一方、イギリスでは、2
001年2月に発生した口蹄疫により、2000年12月時点の総飼養頭数の7
%に当たる42万7千頭(清浄化のための殺処分として14万2千頭、過密飼養
を避ける動物福祉の観点から28万5千頭)の豚が処分・廃棄されている。また、
オランダでも、口蹄疫発生の影響や環境問題を背景とした離農推進政策による相
当数の削減が伝えられている。

EU主要国の豚飼養頭数(2001年6月)

 資料:EU統計局
 注1:数値は暫定値
  2:ベルギーにはルクセンブルグを含む
  3:ギリシャ、ポルトガルを除く


EUのと畜頭数は、口蹄疫の影響で減少に

 このような中で、2001年における豚のと畜頭数を見ると、口蹄疫発生の影
響が顕著に表れている。EU統計局の資料によると、2001年5月までのと畜頭
数は、加盟15ヵ国合計で前年実績を3.1%下回る8,217万3千頭となっ
た。これは、口蹄疫が発生したオランダ、イギリスの減少が大きな影響を与えて
いる。一方、主要生産国のと畜頭数は、好調な価格を反映して増加傾向で推移し
ている。今後のと畜見通しについては、域内需給が緩和傾向にあることから価格
は下降局面に転じ、生産者の早期出荷が加速されるため増加するとの見方がある。
しかし、口蹄疫による飼養頭数減少の影響から、前年実績を上回るのは難しいと
の見方もある。

EUの豚と畜頭数(2001年1〜9月)

 資料:EU統計局
  注:(1)は5月、(2)は7月、(3)は8月までの実績

元のページに戻る