◇絵でみる需給動向◇
米国の肥育豚価格は、好調な米国経済による消費の拡大と、日本向けなどを中 心とする輸出需要を背景として、99年8月以降、おおむね上昇基調で推移して きた。米農務省(USDA)は、今年の9月時点で、第4四半期(10月〜12月) の価格を、100ポンド当たり42〜44ドル(約115.7〜121.3円/kg :1ドル=125円)と見込んでいた。しかし、10月に5ヵ月ぶりに前年同月 を下回ったのに続き、11月も前年同月を6.8%下回る100ポンド当たり3 5.3ドル(約97.3円/kg:1ドル=125円)となり、前月との比較では1 00ポンド当たり6ドル(約16.5円)値を下げ、2001年2月以来10ヵ 月ぶりの30ドル台となった。(左図参照)。 この価格低下の要因として、ひとつには供給増が挙げられる。第4四半期(1 0〜12月)は前年同期並みという見込みに対し、10,11月の2ヵ月で前年 同期比4.1%増、また、と畜頭数や1頭当たり枝肉重量も前年同期を上回って いる。 さらに8月から関税の緊急措置を発動している日本をはじめとしたアジア向け 輸出の減少や9月11日の同時多発テロ事件で米国経済の減速に拍車がかかり、 消費が低迷したことも価格低下の大きな要因となっている。 ◇図:1頭当たり枝肉重量の推移◇ ◇図:豚肉生産および肥育豚価格の推移◇
一方で、堅調に推移してきた価格により養豚農家の生産意欲が刺激され、肉豚 の飼養頭数の拡大が見込まれたものの、9月以降の景気減退により、生産者の多 くは増頭計画を取りやめたと見られる。増頭による需給緩和が懸念されていたが、 この結果、USDAは肥育豚価格が2002年には持ち直し、年間では100ポンド 当たり、42〜45ドル(115.7円〜124円/kg)になると見込んでいる。
また、全輸出量の4割のシェアを占める日本では、BSE問題で牛肉の消費が落 ち込む一方で、牛肉の代替として豚肉の消費が伸びている。8月に発動された関 税の緊急措置は2002年3月末まで継続されるが、USDAによればそれ以降は、 BSE問題の影響もあり、日本向けの輸出量増加が見込まれている。 さらに米国国内での豚肉消費も比較的堅調と見込まれており、2002年も養 豚農家にとっては、比較的好ましい価格が維持されることが期待されている。
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