92年以降の最安値を記録したアルゼンチンの去勢牛価格


去勢牛価格、92年以降の最安値

 アルゼンチンでは、2001年3月の口蹄疫発生による主要な輸出市場の閉鎖によ
り、国内における肉牛供給が過剰となったことなどから、生体牛価格が大幅に下
落している。アルゼンチン農牧水産食糧庁(SAGPyA)によると、リニエルス家畜
市場における10月の生体1kg当たりの去勢牛平均取引価格は、前年同期比25.8%
安の0.669ペソ(約84円:1ペソ=約125円)となり、兌換(だかん)法導入(こ
れにより、1ペソ=1ドルでの内外通貨の交換性が制度的に保証)の翌年に当た
る92年以降の最安値を記録した。


安値の原因は、口蹄疫の発生等による家畜市場での取引頭数増加

 リニエルス家畜市場の肉牛取引は、同国の肉牛流通の約2割を占めており、同
市場の取引価格は、肉牛取引の主流である直接取引の指標となる。

 中堅の食肉処理加工業者を主な会員とするアルゼンチン食肉商工会議所(CIC
CRA)がまとめた月次報告書によると、リニエルス家畜市場における2001年1〜
10月の取引頭数は、前年同期比4.1%増の195万9千頭となった。この増加は、
全カテゴリーにおいて見られる。また、後半の7〜10月は、9.7%増の83万2千
頭となり、月別には、10月が36.3%増の23万8千頭と記録的な増加となった。
こうした取引頭数の増加に伴い生体牛価格が下落している。リニエルス家畜市場
における取引頭数の増加要因としては、@口蹄疫発生による主要な輸出市場の閉
鎖により、輸出向けの肉牛の直接取引が減少し、家畜市場に出荷されたこと、A
経営収支の悪化により資金調達を急ぐ生産者が、直接取引に比べ代金決済の早い
家畜市場への出荷を選択したこと、B今年10月、ブエノスアイレス州やラパンパ
州の肉牛肥育地帯において、降雨過多による影響で牧草地に浸水の被害が拡大し
たことから、生産者が今後の肉牛の仕上り具合の劣化を避けるため、早期の出荷
に動いたこと、などが挙げられる。


口蹄疫の発生件数は減少傾向で推移

 一方、同国の口蹄疫発生状況について、アルゼンチン農畜産品衛生事業団(S
ENASA)は12月7日、プレスリリースを発表した。これによると、12月7日時点
における月別の口蹄疫発生件数(農場単位)は、3月が203件、4月が360件、
5月が604件、6月が540件、7月が324件、8月が68件、9月が17件、10月が1
件、11月が5件となっており、このうち、ウイルスの活性が認められるのは6件
としている。発生件数の減少について、SENASAは、口蹄疫撲滅計画の一環とし
て実施した段階的なワクチン接種や家畜移動制限措置などが功を奏したためとし
ている。


EUの輸出停止措置解除が期待されるも、価格回復は依然不透明

 こうした家畜衛生状況が報告される中、アルゼンチン牛肉業界では、輸出先と
して重要視するEUによる牛肉等の輸入停止措置解除が待ち望まれている。EUの家
畜衛生調査団が11月19日にアルゼンチンを訪問し、前回のEU調査団が提示した勧
告事項(海外駐在員情報通巻第492号2001.7.17)を踏まえ現地調査を実施した結
果、2002年1月にEUが輸出停止措置を解除する見込みであるとSENASAは伝えてい
る。CICCRAによると、EUによるアルゼンチン産牛肉の輸入停止措置が解除されれ
ば、去勢牛価格は、10月に比べ15%程度の回復が見込まれるとしているが、長引
く不況の影響で同国の牛肉需要が減退しているとの推測もあるなど、本格的な価
格回復については依然不透明な要素が多いとされている。

元のページに戻る