ブラジルの農産物輸出は大幅な増加傾向
一次産品の輸出額が大幅に増加
開発商工省貿易局がまとめたブラジルの貿易動向によると、2001年1〜10月の
農産物を主体とする一次産品の輸出額(FOBベース)は、前年同期比23.7%増の
133億ドル(約1兆6,625億円:1ドル=約125円)となる一方、全輸出額の約7
割を占める工業製品は同1.5%増の345億ドル(約4兆3,125億円)にとどまった。
一次産品では、大豆、大豆かす、トウモロコシ、鶏肉、牛肉、豚肉などの主要
農産物が大幅に増加している。この増加要因としては、@今年の穀物および油糧
種子の記録的な増産、A自国通貨レアルが安値で推移する為替動向、BEUにおけ
る牛海綿状脳症(BSE)および口蹄疫問題などが挙げられる。
穀物では大豆、トウモロコシが大幅な輸出増
品目別に見ると、大豆は25.9%増の26億5千万ドル(約3,313億円)となり、
一次産品の輸出額を押し上げる原動力となった。また、輸出量は37.8%増の1,5
26万トンとなった。この増加要因として、今年の生産量が前年比15.1%増の3,7
22万トンとなったこと、中国やEUへの輸出が拡大したことなどが挙げられている。
大豆かすは、動物性飼料の代替としての需要増加などにより、輸出量が19.8%増
の953万トン、輸出額が25.6%増の17億4千万ドル(約2,175億円)となった。
従来、輸入品目であったトウモロコシは、今年の生産量が前年比31.3%増の4,
154万トンとなったことなどから、輸出量が約745倍の432万トン、輸出額が約48
倍の3億8千万ドル(約475億円)となった。しかし、来年は、減産が見込まれ
ることから、余剰トウモロコシの輸出は減少するとしている。
豚肉、鶏肉、牛肉とも輸出は順調
畜産部門では、豚肉の輸出量が約2.2倍の20万4千トン、輸出額が約2.3倍の
2億9千万ドル(約363億円)と前年同期に比べ著しく増加した。これについて
は、中西部における投資の拡大、南部における生産性の向上などにより豚肉生産
量が増加したため、ロシアなどからの需要に応じることができたとしている。
鶏肉については、EUにおけるBSE問題の影響で牛肉の代替としての需要が増加
したことなどから、EUを中心に輸出が飛躍的に増加した。輸出量は35.8%増の1
03万トンとなり、100万トンの大台を突破した。輸出額は60.8%増の10億8千万
ドル(約1,350億円)となった。
牛肉の輸出量は87.2%増の29万5千トン、輸出額は43.6%増の6億6百万ドル
(約758億円)となった。米国、EUなどの供給量が減少したのに対し、ブラジル
の生産量が増加したことが、輸出増加の一因であるとしている。
口蹄疫問題にも好転が見られるなど7年ぶりの貿易黒字の見込み
また、ブラジル産牛肉輸出の不安要因とされていたリオグランデドスル(RS)
州での口蹄疫問題については好転が見られる。牛肉の主要輸出先であるEUは、今
年5月のRS州での口蹄疫再発後、同州産の生鮮肉輸入を停止していたが、ブラジ
ル農務省は11月21日、EU常設獣医委員会が同州産の骨抜き熟成牛肉に対するEUの
輸入停止措置を解除する旨を同国政府に対し通知し、12月1日からEU向けの輸出
が再開された。
農産物輸出の増大などにより2001年1〜10月の全輸出額は前年同期比7.3%増
の494億ドル(約6兆1,750億円)、全輸入額は4.3%増の479億ドル(約5兆9,8
75億円)となったことから、貿易収支は15億ドル(約1,875億円)の黒字となっ
た。このペースが年末まで続けば、2001年の貿易収支は、94年以来7年ぶりの貿
易黒字となることが見込まれている。
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