中国国務院、畜産業発展に関する報告書を承認


個人経営主体の畜産業を改善し、生産力を引き上げ

 中国国務院はこのほど、先に農業部がまとめた畜産業発展に関する報告書を承
認した。今回承認された報告書によると、中国農業部は今後5〜10年の間に、こ
れまで非効率的とされてきた個人経営主体の畜産業を改善し、生産力の引き上げ
を図るとしている。また、生産を拡大させることで畜産業の農業総生産額に占め
る割合を高め、輸出促進の強化を図るとしている。中国では、世界貿易機関(W
TO)への正式加盟に伴い、今後想定される諸外国からの畜産物流入に対し、国内
畜産業の規模拡大と市場競争力の強化が早急に求められている。


市場のニーズに基づく製品づくりを推進

 畜産業の改善に向けた柱としては、家畜・家きんの優良品種の選定、開発、普
及と畜産物の品質向上に重点を置いている。また、さまざまな消費者層のニーズ
に対処できるよう、畜産加工品の品揃え、品質強化が必要と見ている。具体的に
は、産肉能力などに優れた国内優良品種の選定、また、海外からの優良品種の積
極的な導入を行う。また、豚肉と鶏肉、鶏卵については安定的生産力の確保、牛、
羊などについては、食肉生産力の向上を図るとしている。さらに、畜産物に占め
る乳製品の割合を高めるため、乳牛の改良および飼養規模の拡大を進めるとして
いる。畜産加工品については、商品価値を高めるため、技術水準および競争力の
強い企業を選定し、育成することで市場のニーズに基づく製品づくりを進めると
している。


市場競争力の強化が国内畜産業発展への足がかり

 一方、家畜疾病に対処するため、家畜、家きんおよび畜産加工品の生産地、品
質検査を強化し、予防体制を構築するとしている。同報告書では、国内の防疫体
制の強化と併せ、海外からの伝染病の流入防止策、獣医師制度の確立、獣医業務
の規定、遺伝子組み換え作物の管理、規制などについて、関連法律の整備を急ぐ
必要があるとしている。中国では、経済成長に伴い年々、畜産物需要が増してお
り、将来的な市場規模の拡大が見込まれている。中国では、WTO加盟により市場
競争力をいかに強化するかが国内畜産業発展への足がかりになるとみられている。

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