◇絵でみる需給動向◇
好調を維持していたタイの鶏肉輸出が失速の度合いを強めている。タイブロ イラー加工輸出協会が公表した2002年第1四半期の鶏肉輸出量は、前年比15.4 %増の11万6千トンとかなり増加したものの、世界的な鶏肉需要の増大で輸出 が大きく躍進した昨年同期の増加率と比較すると、24ポイントもの低下となっ た。 輸出動向を形態別に見ると、全体の7割を占める冷凍鶏肉の輸出量は同18.2 %増の8万7千トン、輸出額は同7.7%増の78億2千万バーツ(約234億6千万円: 1バーツ=3円)となった。一方、鶏肉調製品の輸出量は同7.7%増の2万9千ト ンに止まり、輸出額は同0.6%減の34億8千万バーツ(約104億4千万円)と前年 同期をわずかながらも割り込んでいる。タイの鶏肉業界は、世界の主要輸出国 との競争が激化する中で、高付加価値製品である鶏肉調製品の開発・輸出に力 を入れてきた。右肩上がりの上昇カーブを描いてきた調製品の輸出も、大きな 節目を迎えたといえる。 同協会は、現在のところ、通年の輸出数量を前年の実績に対して5.1%増の4 6万トンと予測しているが、今後の動向によっては下方修正を行う可能性もあ ると思われる。
地域別では、欧州向けが前年同期比27.0%減の2万8千トンとなり、前年同期 に輸出全体の4割近くを占めた同地域向けの大幅な減少が目立っている。これ には、今年3月に欧州諸国が、同地域で使用が禁止されている抗菌剤がタイ産 鶏肉から検出されたとして、輸入規制を行ったことも一部影響を与えていると 考えられる。 国別に見ると、欧州全体の9割以上を占めるドイツ、オランダ、イギリスが それぞれ、44.0%減の8千トン、33.2%減の9千トン、2.7%減の1万トンといず れも減少に転じている。
一方、日本を含むアジア向けは、前年同期比39.7%増の8万7千トンと大幅に 躍進したが、これには、昨年は存在感が薄かった日本向けが、前年比73.0%増 の7万1千トンと大幅に増加したことが大きく貢献している。アジア全体に占め る日本の割合は、前年同期に比べて15.7ポイント上昇して81.8%を占め、同地 域の中で再び存在感を増したと言える。 これに対し、前年同期に日本の不調をカバーしていたその他のアジア諸国は、 シンガポール向けや韓国向けが大きく減少したことから、同25.6%減の1万6千 トンと大幅に減少した。 ◇図:地域別輸出状況(2002年1〜3月)◇ ◇図:地域別輸出状況(2001年1〜3月)◇
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