◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)が今年5月に発表した世界の穀物需給予測によると、2002 /03年度の世界の飼料穀物生産量は、前年度よりも2,500万トン多く、作付面 積が最も大きかった96/97年度に匹敵する9億500万トンに達すると予測されて いる。前年度からの増加分のうち約半分が、米国における生産による増加であ るとしている。
生産量を地域別にみると、米国の2002/03年度の飼料穀物生産は、前年度と 比較して1,250万トン増の2億7,400万トンと予測している。トウモロコシ、大 麦、小麦の作付面積は拡大、オーツ麦はわずかに前年度を下回ると予測してい るものの、生産量は、主要4品目すべてで増加を見込んでいる。
中国の生産量は、前年度よりも1千万トン多い1億2,900万トンと予測してい る。これは、トウモロコシ生産が、2年前の干ばつの影響にから回復傾向にあ るためである。トウモロコシについては、干ばつの後2年連続で作付面積は増 加していたが、年度の期首在庫が著しく少なかったため、年度を通じての供給 量は減少するとみている。 中国国内でのタイトな供給と消費量の増加、国際貿易機関(WTO)への加入 などにより、中国へのトウモロコシ輸入量は増加、輸出量は減少すると予測さ れる。しかし、中国北部での生産が増加し、輸出余力があれば、中国のトウモ ロコシ輸出は400万トンを維持できるとみている。
また、EUについては、前年よりも200万トン多い1億700万トンと予測してい る。大麦とトウモロコシの作付面積は前年度と比べてわずかに減少するものの、 前年度が不調であった単位面積当たりの収量が回復することにより生産量は増 加するとみている。しかし、在庫量が多くはないことと豪州や(黒海沿岸地域) 東欧との厳しい競争などにより、輸出量の伸びは見られないとしている。
一方、ロシアにおける生産量は、前年度と比較すると700万トン減の5,500万 トンと予測している。前年が豊作であったのに比べ、2002/03年度の収量は平 均的になると予測される。前年の高収穫量のため期首在庫は前年より400万ト ン多く、2002/03年度の収量の減少はあるものの、輸出向け飼料穀物の供給は 潤沢であると予測している。
さらに、ブラジルの生産量は、前年度比400万トン増の4千万トンとみている。 しかし、2001/02年度二期目のトウモロコシ収穫量が長期的な干ばつにより減 少したため、2002/03年度の収穫を迎えるまでは、国内価格は高値が続き、輸 出向けの供給は限られたものとなるとみている。
アルゼンチンにおける飼料穀物生産は、前年度よりも200万トン減少の1,500 万トンと予測している。USDAでは、トウモロコシの生産コストは他の飼料作物 と比較して高いことから、2002/03年度は、生産者が小麦や大豆などの二期作 が可能な作物へ転換すると予測しており、トウモロコシの輸出量は前年度比25 0万トン減の700万トンとみている。
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