◇絵でみる需給動向◇
EU委員会は、2001年11月または12月時点の乳用経産牛の飼養頭数を発表した。E Uにおける、乳用経産牛の飼養頭数は、90年代初めから減少傾向が続いているが、 今回の調査でも前年比1.1%減の1,396万1千頭と減少傾向に変化はなかった。 EUの生乳生産は、クォータ制度の中で一定の水準を維持しており、飼養頭数の 減少分は、家畜改良などによる1頭当たりの乳量の増加で補っている。
乳用経産牛の飼養動向を国別に見ると、EUの主要酪農生産国であるフランスは 前年比1.0%増の419万5千頭となった。フランスの農業省によると、飼養頭数が増 加したのは、84年以来のことであるとしている。農業省では、2001年前半に飼養 頭数の確保のために牛群の保留を図ったことが、今回の増加につながったものと みている。 このほかに、飼養頭数が増加した国としては、オランダが前年比1.2%増、スペ インが同4.3%増となっている。 しかしながら、EU最大の酪農生産国であるドイツが同2.0%減、イギリスでは同 5.8%減、イタリアが同0.2%減と、全体としては減少傾向にあると言える。
ドイツ市場価格情報センター(ZMP)によれば、EUの乳用経産牛1頭当たりの年 間乳量は、1990年から2000年の間に約1,100kg増加し、2000年は5,850kgとなって いる。 フランスの農業研究機関de l'Elevageによると、2000年のフランスの乳用経産 牛1頭当たりの年間乳量は、前年と比べて94kg増の7,184kgであった。フランスに おいては、2001年の飼養頭数はわずかに増加することになったものの、酪農家戸 数は減少傾向にあり、生産性の向上や規模拡大が進展している。 また、ZMPによると、スウェーデンの1頭当たりの年間乳量は、EU15ヵ国の平均 乳量である5,850kgを大きく上回る7,900kgと、EU最大となっている。 ◇図:乳用経産牛の飼養頭数と1頭当たりの年間乳量の推移◇
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