EUの豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○拡大が見込まれるデンマークの肉豚・豚肉生産



●●●飼養頭数は、子取り用めす豚で大きく増加●●●

 デンマークの豚肉生産は、EUの豚肉生産量の約1割に過ぎず、その生産動向
がEU全体の需給に及ぼす影響は大きいとは言えない。しかし、同国の豚肉生産
のうち約9割を輸出向けとしており、特に日本の豚肉輸入量は約3割をデンマー
クからの輸入となっている。

 イギリス食肉家畜委員会(MLC)によると、2002年4月時点のデンマークの豚
飼養頭数は、前年比約1.9%増の1,292万1千頭となった。しかし、2002年1月時
点と比較すると、わずかながら減少している。

 飼養の内訳を見ると、前年同期、2002年1月のいずれの時点との比較におい
ても増加しているのは、子取り用めす豚である。中でも前年比11%増と大きく
増加しているのが、妊娠中の未経産豚で、今年中頃には分娩期を迎えるものと
思われる。また、交配前の未経産豚も前年比7.5%増となっており、今後、交
配が進むことにより、総飼養頭数も増加するものとみられる。



●●●豚肉生産・生体豚輸出とも拡大●●●

 MLCは、デンマークの2002年の豚肉生産は、前年比約3%増とみている。
具体的には2002年のと畜頭数は前年比2.6%増の2,240万頭と予測されており、
豚肉生産量も同様に増加が見込まれている。また、飼養頭数の増加予測を受け、
生体豚の輸出頭数は前年比12%増の150万頭になるとみている。2001年の生体
豚輸出は、口蹄疫による輸出制限により3〜4月の輸出は一時中断されたため落
ち込んでいたが、2002年は2000年の水準にまで回復するとみている。2002年1
〜2月の輸出頭数は、前年同期と比べて約2万頭多く輸出されており、大きな伸
びが期待されている。

◇図:デンマークの豚肉卸売価格◇


●●●肉豚価格の下落傾向は続くとの予測●●●

 2002年4月のデンマークにおける肉豚価格は、前年同月比14%安となった。
高値感への反発と需給の緩和などにより、肉豚価格は2001年後半から下落傾向
を見せている。MLCでは、この下落傾向は2002年後半まで続くものとみており、
2001年は1s当たり11.7デンマーククローネ(約186円:1デンマーククローネ
=15.9円)であった年間の平均肉豚価格は、2002年には10デンマーククローネ
(約159円)を下回ると予測している。



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