EU委、各国関係者との農業・食品政策対話を終了
各国の食品流通関係者と議論
EU委員会は5月13日にブラッセルで、関係者との農業・食品政策に関する意見
交換会の最終回を実施した。この催しは、EU委員会のフィシュラー委員(農業・
農村開発・漁業担当)およびバーン委員(保健・消費者保護担当)により共同で
企画され、これまで1年間に渡って各国で実施されてきた。農場からフォーク
(消費者)まで、幅広い食品流通関係者を対象に意見を聴取し、今後の政策展開
のあり方、特にさらに議論を深める必要がある分野を特定するのが目的だった。
EU委員会では、結論を次のように要約し、具体的な施策に生かしていくこととし
ている。
農業の役割や食品安全・表示などが議論の中心
1. 農業
農業は食品連鎖(流通)の基礎であるとともにそれ以上の役割があることを
考慮すべきである。農業は自然循環を担い、経済的価値以上のものがある。様
々な地形や準自然環境の維持には農業の積極的な役割が必要である。自然環境
にさらされる農業は、収量・価格が不安定で、これが政策介入を必要とする大
きな理由である。
多面的機能という概念は、欧州農業への社会の期待のみならずその重要な特
徴を表している。経済部門としての農業は、多くの役割を果たし、持続可能で、
競争力があり、欧州全体に広がっていなければならない。地方を維持し、自然
を保護し、農村地域の活力を高めるため重要な役割を担うことができなければ
ならない。貿易わい曲は最小にしつつ、農業がそうした役割を最大限発揮でき
るような対策が必要である。また、欧州の農業・食品分野の競争力も重要であ
り、研究開発が不可欠である。
農村開発も優先課題に位置付けられた。多くの国での議論で、この分野でま
だやれることが多いと力説された。環境施策として農民への援助は行われてい
るが、同様な事業について品質向上という見方もできるだろう。さらに、有機
農業、多面的機能の推進、小規模・伝統的農業者・生産者の支援もあるだろう。
最終回では、動物福祉も考慮しつつ、社会・経済・環境的に持続可能な農業の
重要性が再び強調された。
2. 食品政策
食品流通全体における消費者の信頼回復に向けた欧州食品安全機関の設立は
優先課題である。さらに食品安全白書に盛り込まれたアクション・プランの速
やかな遂行が特に重要である。
消費者は、より多くの、より良い情報を求めている。その情報は通常、義務
的または自主的表示により得られるが、表示は複雑かつ不明確になってきてい
る。EU委員会では、関係国や関係者の協力の下、表示規則を近代的にかつ可能
ならば単純化する視点で、評価したいと考えている。現行規則と表示目的の適
正化と整合性確保をねらいとして、原産地表示と栄養表示に関する現行規則へ
の補足、全般的な表示の明確化、表示以外の方法での情報提供などの可能性に
ついて見直す予定である。
栄養・機能・健康などの食品クレーム(効用書き)についての法制化につい
て、提案された。栄養付加食品への消費者・業界の関心が高まっており、その
法制化も予定している。新食品、食品加工についても、注目されており、EU委
員会では近い将来コンサルテーション・ペーパーの公布を提案する予定である。
また、職人的生産、バイオテクノロジー、有機農業、持続可能な開発など、
その他の形の革新についても、食品政策・法制で振興する必要がある。
3. 情報提供、コンサルテーション
意見交換会では、関係者との対話の維持・強化が重要と強調された。EU委員
会では、今回と同様の催しを定期的に実施すべきとの提案を快く受け入れるこ
ととしている。
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