連邦農業予算は検疫体制強化を継続      ● 豪 州



検疫と食品産業対策に重点を置いた2002/03農業関連予算

 豪州連邦政府は5月中旬、2002/03年度(7〜6月)の予算案を発表した。国内総
生産(GDP)成長率3.75%の経済見通しの下、テロ対策や国境警備強化などの防
衛予算が増強された一方、障害者手当の受給資格の厳格化など福祉サービスが後
退したとして野党から批判を浴びている。

 その中で、農業関連予算は、従来からの方針を踏襲した形で、検疫と食品産業
対策に重点を置いたものとなっている。


検疫検査体制強化に関する予算

 検疫対策関係では、まず、昨年度からの輸入検疫検査体制の強化などに加え、
重大な家畜伝染病発生における緊急対応体制を増強するため、4年間にわたって1
千万豪ドル(7億円:1豪ドル=70円)が計上される。この内容としては、@疫学
上重要な地域と、病気発生を予防かつ制御するより良い方法を見出すための緊急
時の管理に要する人員の確保、A病気の迅速な確認を支援するための豪州動物衛
生研究所(AAHL)の診断システムの自動化、B州・準州政府との協力による新し
い情報システムの開発などが挙げられている。なお、この一環として今年9月に
口蹄疫発生を想定した模擬演習を実施することとなっている。

 第2に、北部豪州検疫戦略(NAQS)のために4年間にわたって1千690万豪ドル(
約12億円)。これは北部豪州とパプアニューギニアやインドネシア、東ティモー
ルに近接する地域の防疫体制を強化するもの。

 第3に、検疫体制強化を補完する施策として、政府獣医師奨学金のために単年
度2百万豪ドル(1億4千万円)。これは、農村地域における大動物の健康を専門
に扱う獣医師の減少に取り組むためのもので、奨学金は学業成績が確実な農村地
域で生活し働く希望を持つ3学年の獣医学生が対象となる予定。なお、併せて政
府は家畜産業界と合同で農村地域で働く獣医師が増えない要因を検討することを
開始することとしている。


食品産業対策に関する予算

 食品産業対策については、すでに昨年9月末に発表されていた全国食品産業戦
略(NFIS)に対して5年間で1億240万豪ドル(約72億円)を計上。この戦略は従
前のアジア地域への食品輸出振興対策に代わるもので、食品加工部門の競争力強
化を目的とし、@戦略を監督する高いレベルの産業評議会の設立、A豪州をベー
スとする会社に優れたイノベーション実行の手段を与えることを目指す4千7百万
豪ドル(約33億円)のパッケージ、B市場アクセスや貿易の開発・推進に焦点を
当てた国際市場への参入を実行するための食品貿易のイニシアティブの確立、C
競争力のある供給チェーンの確立や国家的な食品の安全性と品質の向上のための
戦略などを内容とする。最終的には、豪州の農産物が原材料としてだけではなく
より加工度を高めた付加価値の高い製品として輸出されることを目指している。

 そのほか、畜産関係では来年の牛肉博覧会開催関係の経費などが予算計上され
ている。

 農業関連予算に対して、野党は従前の古いアイデアの焼き直しに過ぎないと批
判的であるが、全国農業者連盟(NFF)のドンジス会長は、防衛予算が増加した
背景に理解を示しつつ、「同様に農業のための国境防衛は非常に重要な問題であ
る」とおおむね満足の意を表している。



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