中国の肉類生産物輸出に厳しい情勢



中国における肉類生産物輸出の現況

 中国農業部が監修している情報誌において、WTO加盟後の中国の肉類生産物輸
出について厳しい情勢見通しが報告されている。

 WTO加盟前の中国では、関税、数量制限が農産物輸出に影響する主な障壁とな
っていたが、WTOに加盟した現在、環境保護や国民の健康を目的とした立法ある
いは厳格な法規、基準、品質認証等、また、煩雑商品包装、表示、検査、環境保
護等、より高く、より対応の難しい技術的障壁が設けられ、これらが中国の肉類
生産物輸出を制約することとなっている。


中国の肉類輸出が阻まれる原因の検討

 近年、中国は、家畜家禽肉類屠殺立法、獣医検査検疫・管理機能の整備、法執
行、肉類加工衛生設備・施設の改善といった面の強化に努力し、世界のレベルに
合わせるための歩みをスピードアップしてきた。しかし、制約要素も多く、肉類
の生産販売は国内市場向けに行われ、輸出はきわめて少ない状況にある。現在、
中国の畜産物生産の全体量は相当な規模に達しており、全国の肉類総生産量が世
界の肉類総生産量の1/4以上を占めているが、肉類生産物の輸出量は大変少なく、
わずか1%を占めるに過ぎない。輸出に影響を与えている様々な制約要因として
は、国際市場における需給関係のほか、薬品の残留基準や肉類生産物の品質が輸
出相手国の要求を満たすことができないこと、肉類生産物の生産基準が不統一で
あること、自己のブランドがないこと、肉類生産物の輸出入規模が小さく、組織
化が進んでいないこと等が主要因として挙げられる。


国際市場開拓対策の検討

 国際市場を開拓するための対策としては、前出の制約要因を踏まえて次のこと
を検討し、実施していくべきであると考えられている。

 まずは、ブランドを作り出すことである。生産物のブランドは国際社会からま
すます重視されるようになっており、有名なブランド生産物を作り出すことは、
国際市場での競争に加わるために効果的な方法であるとしている。

 次に、基準意識を高めることであるが、食肉加工企業は、国際的な、また国内
の肉類生産基準を研究し、基準に照らして生産、経営を行うことによって、国際
市場の要求にかなった肉類製品を生産、開発していかねばならないとしている。
また、肉類加工企業としては、早急にHACCP管理体系を実行し、国際市場の要求
を満たす必要があるとしている。

 肉類輸出企業が国際市場で一定の地位を獲得しようとするのであれば、専門的
な生産と大規模化、集団化経営を実施することが不可欠となってくる。大規模生
産を行うには、生産基地を建設して、大規模飼育、加工生産、販売を一体化した
発展のモデルを採ることが必要である。適切な規模を備えてはじめて、市場にお
いてある程度の優位性を得ることが可能となるのである。

 また、国際的なレベルを備えた検疫、検査、防疫の監督管理体制を構築し、監
督管理に力を入れる必要もある。肉類加工企業は、資金投入に力を入れて、防疫、
検疫、検査作業を強化し、国際的に通用するHACCP品質保証体系を実施して、企
業が伝染病、汚染、公害のない肉類生産物を生産できるよう確実に保証しなけれ
ばならない。

 このほか、保管、輸送、販売の便をはかり、肉類生産物の衛生を保証するため
にも、生産物の包装はますます重要視されるようになっている。特に先進国は輸
入生産物の包装と表示により厳しい要求をしている。そこで、肉類を輸出する企
業は、輸出時に輸出相手国の生産物の包装と表示に対する要求を把握して、包装
と表示が基準を満たしていないために本来被るべきでない損失を被らずにすむよ
う気をつけねばならない。



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