USDA、食肉工場などの食品安全性確保の指針を公表 ● 米 国
FSISが所管する食肉工場などの特定のニーズに対応して作成
米農務省(USDA)食品安全検査局(FSIS)は先ごろ、食肉、家きん肉、鶏卵など
の製品を生産する工場における食品安全性確保(Food Security)のためのガイ
ドラインを発表した。米国では、昨年9月の同時多発テロ発生以降、国土安全保障の
一環として、食品の安全性確保が重要課題となっており、今年1月には米保健社
会福祉省(HHS)食品医薬品局(FDA)からも、食品関連業界に対する同種のガイ
ドラインが発表されているが、今回はFSISが所管する食肉工場などの特定のニー
ズに対応して作成されたものである。
一方、食肉加工業者の団体である米国食肉協会(AMI)も、独自のガイドライ
ンを作成し、会員企業へ提供しているが、USDAはこうした情報にアクセスできない
経営体などを念頭に置き、今回のガイドラインを作成した。なお、FDAおよびUSDA
いずれのガイドラインも強制力はなく、採用・実施については、各自の判断に任
されている。
各項目ごとに具体的ガイドラインを設定
FSISのガイドラインの概要は次のとおりである。
1.食品の安全性確保の計画管理
@各工場などにおける計画管理の担当者の特定およびその責任の明確化を
図ること、A計画は、リスク管理の原則に基づき作成・実施すること、B毒物
が混入した場合、当該製品が確実に消費向けから除外される仕組みを担保する
こと、C計画では、問題製品の早急なリコール方法や、警察および衛生当局
への通知に関する詳細な段取りを定めておくことなど。
2.工場外部
@工場の境界線を明確化するとともに、すべてのアクセスポイントにガード
マン、アラームなどを配置し、承認されていない者の侵入を防ぐこと、A夜間の
不審な行動を監視できるよう十分な明るさの外灯を配置することなど。
3.工場内部
@制限区域の明示とアクセスの管理を行うこと、A工場のレイアウトを常に
更新し、直ちにこれを入手できるよう安全な場所に保管しておくこと、B訪問
者は承認された工場職員の随伴がない限り、アクセスを製造に関係のない場所
のみに制限すること、C故意に製品が汚染された場合、関連するすべての商品
の特定、区別および安全性確保を適時的に行えるプログラムを用意しておくこ
と、D使用制限のある原料などについては、厳重に保管するとともに、毎日の
作業終了後、直接の担当者以外の職員が実際の使用量などを確認すること、E
包装材料に問題がないか使用前に必ず確認すること、F最終製品の在庫数量に
不審な動きがないか確認すること、G勤務表は常に更新し、工場責任者が所持
することなど。
4.入出荷
@出荷の際には、毒物混入を防止するための封印を行うこと。また、当該
工場が入荷するものについても、同様の封印を相手先に義務付けること、A
出荷書類の記載事項に不審な変更がある場合、十分に調査すること、B荷の出
し入れをしていないトラックは施錠すること、C荷物のデリバリーを受ける
際は、事前連絡を相手先に義務付けることなど。
FSISではFDAなどの他省庁とも協力の上、同局所管の食品の輸送、保管および
ハンドリングに関する指針の提供に今後とも努めていくことを明らかにして
いる。なお、国土安全保障のうち、食品の安全性確保に関するものとして、
「食品への脅威に関する危機管理ネットワーク(通称PrepNet)」が関連省庁
間で形成されている。
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