USDA、非貿易的関心事項に関するレポートを発表 ● 米 国



貿易歪曲的でない透明な政策による目的達成を主張

 米農務省(USDA)経済調査局(ERS)は先頃、「Agricultural Outlook」にお
いて、世界貿易機関(WTO)の農業貿易交渉上最も議論の多い問題の1つであると
して、非貿易的関心事項(Non-Trade Concerns)を取り上げたレポートを公表し
た。

 米国は非貿易的関心事項について、2000年6月末にWTOに提出した農業に関する
交渉提案の中で、・米国も食糧安全保障、資源保全、農村開発および環境保護な
どを含む非貿易的関心事項に取り組む政策を支持するが、・これらの目的は貿易
歪曲的でない方法、すなわち国内市場の閉鎖や輸出国に不利となる不公正競争の
導入を避け、個別の事項に目標を絞り、かつ透明な政策を以って実現されなけれ
ばならない、などと主張していた。

 今回のレポートにおいても、この主張が繰り返されているほか、非貿易的関心
事項に関する米国の貿易歪曲的ではない取り組みの例が挙げられている。


環境保護、景観維持や農村問題で具体例

 まず、環境保護については、農業生産の水準を調整することなく環境への悪影
響を防止する政策の例として、・土壌浸食の防止、水質の保全および野生動植物
の生息地の改善を目的として、休耕した生産者に助成を行う土壌保全留保計画
(CRP)、・生産者に対して、技術、財政および教育支援を行う環境改善奨励計
画(EQIP)、また、・水質保全法などの関連規制プログラムに基づく、より直
接的な規制措置などが挙げられている。

 また、農地の保持による良好な景観の維持については、・農地が商業用地また
は居住地に転用されないように政府が土地の開発権を買い上げる、・政府が特定
の地域において農地指定を行い、他の目的に転用させない、・農地として維持さ
れるよう税制上の誘引を与えるなどの取り組み例も示されている。

 就業機会・所得の減少や若者の流出といった農村問題については、一般的な教
育向上策、労働者教育、通信・交通・住宅などのインフラ整備、困窮地域への民
間投資に対する経済的誘引を提供するなどの取り組みが行われている。

 このレポートでは、今後WTOの交渉が進み、農業保護のさらなる削減が約束され
た場合、各国とも、米国で行われているような農産物生産と関わりのない政策へ
の依存度がさらに増していくだろうと結論付けている。


新農業法のWTO交渉などに関する「雑音」に対して農務長官が反論

 一方、今後のWTOの交渉などに関連して、新農業法の成立後、米国はEUや隣国カ
ナダを含むケアンズグループなどから強く批判されたが、最近、ブッシュ政権の
閣僚、議会関係者などが反論を試みている。ベネマン長官も5月21日、特に外国から
新農業法に関する「雑音(noise)」が聞こえてきており、それらの中には不当で
事実を歪曲しているものがあるとして、次のとおり述べた。

1. 新農業法は農業支持プログラムを7割増 加させたと主張するものがいるが、
   これは事実と言えない。過去4年間、毎年緊急追加支援措置として、約75億ド
   ルが支払われてきたのに対し、新農業法は毎年約74億ドル(追加支援を含まな
   いベースで)の増加となっており、結果として、農家への支援措置の額はおお
   よそ同じである。
   
2.  新農業法は米国の国際貿易における立場を台無しにしているとの主張も聞
   かれるが、WTO合意に基づく米国の国内支持の上限は191億ドルでEUの3分の1
   以下である。また、農産物の平均関税率もEU、ケアンズグループが約30%であ
   るのに対し、米国は約12%である。新農業法はWTO合意に沿ったものであり、
   同法にはこの上限を確実に守るための「電流遮断機(Circuit  Breaker)」
   条項も規定されていることから、今後とも確実に遵守される。



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