◇絵でみる需給動向◇
フランスの政府機関であるフランス食肉ボード(OFIVAL)は、2002 年のEUの牛肉需給動向について、牛海綿状脳症(BSE)問題で大きな影響を受け た状態から徐々にバランスを回復すると予測している。また、生産については、 特にフランス、ドイツ、スペイン、アイルランドにおいて、BSEの影響で出荷が 出来なかったため農家に滞留している牛が多くいることから、今後これらの出荷 が進み、今年の牛肉生産量は増加するとみている。 生産量の増加が予測される中、EU域内需要の高まりも予測している。OFIVALで は、EUにおける牛肉消費量は前年比8.9%増の660万トンになると予測しているが、 99年の水準は依然下回るとしている。
EUで最大の牛肉生産国であるフランスの大手調査機関によると、フランスに おける2002年の肉牛飼養頭数は、前年比2%の増加を予測している。これは、前 述のとおり、2001年に出荷できなかった牛が農家に保留されており、2002年1月 初めには1万5千頭が滞留していたことによるものである。また、フランスでは生 乳クォータ枠内に生産を抑えるため、また設備投資や飼料費の削減のため、乳牛 や乳用の子牛をと畜に回すことが増えるとしている。そのため、同機関では雌牛 のと畜頭数が大幅に増えることにより、2002年の牛肉生産量は10%増の89万5千 頭になると予測している。
一方、域外への牛肉輸出も好調が予測されている。2001年の牛肉域外輸出は前 年比21%の減少を見せたが、EU産牛肉の大きな輸出先となっているロシアが引き 続き今年も重要な市場になると見込んでおり、特にロシア近隣諸国や中東に市場 を持っているドイツにとって有利であるとしている。また、今後の域外への輸出 動向は、エジプトやアラブ首長国連邦、サウジアラビアなどへの輸出再開が鍵と なるとみている。OFIVALでは、2002年の肉牛・牛肉輸出量は、前年比37.3%増の 72万5千トンと予測している。域内外の好調な需要により、牛肉価格は、最低を 記録した2001年から上向いており、肉牛価格についても長い時間かかる可能性は あるにしても、改善するとみている。 牛肉の短期需給予測 資料:OFIVAL、Eurostat 注:すべてと体重量ベース
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